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 医学生やレジデントは大人の学習者であり、医学教育は成人学習の原則に従ったものでなければならない。医学教育者の中にはこの原則を知らずに、まるで小学校の教員が生徒を教えるように教育を行っている場合がある。医学生を成人学習者として尊重する姿勢が教員にも事務官にも求められる。成人学習の原則としては以下のようなものがある。

  1. 学習したことを直ちに実践したいと思う
    学習したことが実践に結びつかない時、学習者はフラストレーションがたまる。 講義で聞いた内容が実際、どのような意義があり、臨床的に応用されているのか、学習者が納得できるようにしなければならない。臨床の場においても、なるべく実際の症例にもとづいた学習を行うことが望ましい。
  2. 知識の詰め込みよりも概念や原則の学習を好む
    「知識の詰め込みは、オタマジャクシに甲状腺ホルモンを投与するようなものである。すぐにカエルになるのは良いが、小さめのカエルしかできない。」(Smith 1985)
    問題基盤型学習(テュトーリアル教育)は知識の詰め込み学習よりも臨床問題解決能力を重視する教育法であり、この成人教育の原則に沿ったものである。
  3. 自分自身で学習目標を立てることを好む
    「いったい、そんなことができるのだろうか?」と思う方もあるかもしれないが、一方的に「・・・・しなさい」と言われるより、教育者と学習者が話し合いながら学習目標を立てることは有効であることが証明されている。
  4. フィードバックされることを好む
    学習者の現在の仕事ぶりを直接本人に伝え、それによって学習者の今後の成長を促す過程を「フィードバック」という。これは合否判定や資格判定などにおこなわれる試験(総括的評価)とは異なり、学習効率を高めるために行われるもので、形成的評価とも言う。