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 教育学には,Pedagogyという英語が当てはまるが,Pedという語幹は「子ども」を意味し,空白のキャンバスに新たな知識を授けていくというような教育観が根底にあるという批判がある.アンドラゴギー(Andragogy)は,「成人-教育」を意味する言葉からドイツの教育者アレクサンダー・カップが1833年に作ったものとされ,日本語では「成人教育」と訳されるに至った.成人においては,公式なカリキュラムでの教育よりも,各自が自己主導的(self-directed)に行う学習が重視されることもあり,成人学習(adult learning)と呼ばれることもある.
 アメリカ合衆国の成人教育の理論家マルコム・ノウルズ(Malcolm S. Knowles、1913-1997)は,以下の4つの特徴で成人学習の理論化に努めた.

  • 成人は自分たちが学ぶことについてその計画と評価に直接関わる必要がある(自己概念と学習への動機付け)
  • (失敗も含めた)経験が学習活動の基盤を提供してくれる(経験)
  • 成人は自分たちの職業や暮らしに直接重要と思われるようなテーマについて学ぶことに最も興味を示す(学習へのレディネス)
  • 成人の学習は学習内容中心型ではなく問題中心型である(学習への方向付け)


これらの特徴は,子どもの学習においても重要であるという指摘もある.しかし,教える側が「何をどのように教えればよいか」にばかり拘泥し,学ぶ側の心理,経験,レディネス(心的準備状態)に配慮していないのではないかと考え直すためには重要な面があるだろう.