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 1990年代の米国において,マネジドケアを中心とした医療改革が進んだことを一つのきっかけに,医師の「専門職=プロフェッション」のあり方が議論され始めた.医学,医療はますます専門分化したものの,政治側が市場原理を用いた改革を断行し,医療者側は自己決定権よりも,費用対効果を優先せざるを得なくなった.大衆やマスコミは,医師が裕福な割に医療事故が絶えないといった見方を厳しくしていったが,その後には市場原理で医療を締め付ける医療保険組織にも反旗を翻した.医師集団は医療における決定権に関し,それまでは他分野からの介入を許さなかったが,世界一GNP比の高い医療費,数多くの保険未加入者といった問題に対し,様々な学問分野(経営学,社会学など)も議論に加わった.これにより,個々の医師だけでなく,医師集団も,自分たちのあり方を見つめ直す必要に迫られた.  2000年前後より,医師のプロフェッショナリズムを一新するための教育変革も議論されるようになった.米国卒後研修認証評価協議会(Accreditation Council for Graduate Medical Education:ACGME)のアウトカム基盤型教育モデルは1998年に公表されたが,6つのアウトカムの1つにプロフェッショナリズムを据えたことで,その用語の意味が繰り返し問われるようになった.また,2002年には米国内科認定医会-内科学会と欧州内科連盟が新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム—医師憲章を発表し([1]),基本原則3つ,専門職の責務10個を挙げたことで,意味するところがかなり明示的になった.