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 リベラル・アーツの起源は,古代ローマにおける自由(liberal)市民に必要な学芸(arts)としての言語と数学系の諸科にあり,生産階級である奴隷(servile)の技芸(arts)に対していった。それは,中世のヨーロッパ大学において,文法・修辞・論理の言語系3学(trivium)と算術・幾何・天文・音楽の数学系4学(quadrivium)の7自由学芸として哲学(学芸)部に定着し,特定の職業からの拘束を受ける神・法・医の専門職学部の諸学芸に対して自由な学芸とされ,また一方でそれらの教育のための基礎学芸と位置づけられた。
 近代のそれはアメリカの大学で確立した概念で,自由人に相応しい,特定の職業のためではないない,一般的な知力を開発する学芸を意味し,言語・数学系の諸科と人文科学,社会科学,自然科学の諸学芸を指す。これらの諸科は学芸(文芸)科学学部(faculty of arts (letter)and sciences )等を構成し,古典的な神・法・医及び近代的な工,農,経営,教育等の専門職学部(professional schools)における職業系諸科に対する。一部に,近代科学とその生み出す技術(science and technology)の知を別種のものとみて,それらを除いた諸科をリベラル・アーツとみる向きもある。
 なお,リベラル・アーツは教養と訳されるが,教養の英訳がカルチャーつまり文化一般であるのに対して,リベラル・アーツはディシプリン(方法)を持った諸科目であり,リベラルアーツ・カレッジにおいても,一般教育に加えリベラル・アーツ分野の専攻の学習が課されるのが通常である。