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 Angoff法は,臨床スキル評価にも応用可能な合否判定基準設定の方法の一つ.修正アンゴフ法(Modified Angoff method)という名称も広く知られているが,“修正”の意味するところが明確でないため,ここでは単にアンゴフ法と称する.
 まず評価内容に詳しい者,学生の能力についてよく知っている者などで構成する評価委員会を立ち上げる.分割点の誤差を小さくするには委員の人数を10名以上にすることが望ましい.次に,この委員たちで,合否判定基準上にある学生をイメージしてみる.

Angoff法-臨床技能評価の例 *1:判定基準上の学生群がこの項目を 正しく実施できる確率 *2:各項目の合否判定基準
診察項目満点*1*2
患者への説明180%0.8
診察時の体位180%0.8
皮膚視診280%1.6
皮膚温の変化160%0.6
脈:大腿動脈180%0.8
脈:膝窩動脈150%0.5
脈:後脛骨動脈150%0.5
脈:足背動脈150%0.5
皮膚毛細血管再充満150%0.5
106.6


 上の表の例は,「下肢の血流不全を疑う患者の診察法」のステーションであるが,合否判定基準上の学生は,「脈を診なければいけないことは分かっているが,体表解剖との関連性が不明確」などのイメージが浮かび上がるだろう.各委員はそのイメージに従い,判定基準上の学生群が各項目に対してどのくらいの確率で正しく実施できるかを記入していく.
 この作業は,各項目に対する判定基準を設定していることになる.そして,ステーション全体の分割点は,1.0×80% + 1.0×80% + 2.0×80% ・・・と計算すれば10点満点中6.6点となる.各委員が同じステーションに対して各自分割点を計算し,それを最後に平均化してこのステーションに対する分割点が決定される.OSCE全体で用いる分割点は,やはりOSCE全体で平均化したスコアを用いることになる.