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D119

 

ドイツ医師のための職業規則原型

−1997−

アイゼナッハにおける第100回ドイツ医師議で議決された版

 

(Muster-)Berufsordnung fuer die deutschen Aerztinnen und Aerzte

--MBO-A 1997--

in der Fassung der Beschlusse des 100.Deutschen Aeztetages in Eisenach

 * ここに印刷された「職業規則」は第100回医師議で議決された職業規則原型である。この職業規則は、医師【各州の】の大会議決され、監督承認したときに法的効力をもつようになる。

 ドイツ医師のための職業規則1970年版D1181993年版D101掲載しました

 

 誓約

以下誓約は総ての医師適用される:

『私が医師という身分採用されるに当り、私の生命人間奉仕に捧げることを私は厳粛誓約いたします。

私は私の職業良心尊厳をもって実行いたします。

私は総ての私に委託された秘密患者の死んだ後も守ります。

私は私の全力をもって医師としての職業名誉品位ある伝統維持し、私の医師としての義務を行なうに当り、宗教国籍民族さらに派閥または社会立場によって差別することはいたしません。

私はあらゆる人の生命に対して畏敬の念を持ち、たとえ脅迫を受けたとしても人間の掟に反することなく私の医術行使します。

私は私の師及び同僚当然なすべき尊敬を表します。私はこれらのすべてを私の名誉にかけて厳粛約束いたします。』

 

目 次

 

誓約

A.序言

職業従事のための規定

 

I. 原則

 

§

 医師任務

 

§

医師一般義務

 

§

 容認できないこと

 

§

 生涯研修

 

§

 質の保証

 

§

 好ましくない医薬作用報告

 

II. 患者に対する義務

 

§

 診療原則行動規範

 

§

 説明義務

 

§

 守秘義務

 

§10

 記録作成義務

 

§11

 医師検査及び診療方法

 

§12

 報酬及び報酬の取り決め

 

III. 特殊医療手続研究

 

§13

 徳殊な医療手続

 

§14

 未出生生命保持妊娠中絶

 

§15

研究

 

§16

 死にゆく人に対する付添い

 

IV. 職業態度

 

.

職業従事

 

§17

 開業及び診療従事

 

§18

 支所診療診療スペース延長

 

§19

 被雇用診療医師従事

 

§20

 代理

 

§21

 賠償責任保険

 

§22

 共同職業従事

 

§23

 勤務環境医師

 

§24

 医師業務契約

 

§25

 医師鑑定意見意味も含む】と証明

 

§26

 医師救急業務

 

.

職業上のコミュニケーション

 

§27

 許可宣伝職業従事に関する許可された客観情報

 

§28

 社会への貢献メディア活動

 

.

医師による職業上の共同作業

 

§29

 同僚としての共同作業

 

.

第三共同作業をする場合における医師独立性の保証

 

§30

 医師第三との共同作業

 

§31

 報酬による患者斡旋は許されない

 

§32

 贈物及び他の便宜受領

 

§33

 医師産業

 

§34

 医薬療法、及び補助具の処方推薦及び鑑定

 

§35

 生涯教育スポンサ

C.行動規定医師の正しい職業従事原則

 

No.1

 患者との対応

 

No.2

 診療原則

 

No.3

 医師でない共働者とのつきあい

D. 医師の個々の職業義務に対する補充規定

 

I. 職業上のコミュニケーションに対する規定、とくに職業業務に関する客観情報許容された内容範囲

 

No.1

他の医師情報

 

No.2

診療看板

 

No.3

広告一覧

 

No.4

便箋処方用紙スタンプ及びその他の文通における記載

 

No.5

診療内における患者への情報

 

No.6

コンピュータ通信ネットにおける公共呼出可能医師情報

 

II. 共同作業共同診療パートナシップ医学協力共同診療連帯

 

No.7

職業権利保留

 

No.8

医師職業従事共同

 

No.9

医師及び他の専門所属者との間の協力職業従事

 

No.10

その他のパートナシップへの医師関与

 

No.11

診療連帯

 

III. 国境を越えた医療従事場合義務

 

No.12

他のEU加盟国におけるドイツ医師診療

 

No.13

他のEU加盟国からの医師国境を越えた医療従事

 

IV.特別医学状況における義務

 

No.14

ヒト胚の保護

 

No.15

人工受精、胚移入

 

付:訳者解説

訳者注1

 

 

A. 序言

 


カンマー法 Kammergesetz【ここではカンマーは医師を指す】及び医療職法 Heilberufsgesetz に基づいて議決されるこの職業規則は、患者同僚保健医療における他のパートナに対する医師態度、並びに社会における医師態度に対する医師集合としての信条表示するものである。そのために、医師以下職業規則献身する。職業規則は、医師職業義務確定することにより、同時以下目標にも役立つことになる。

以下医師」という表現は、男性女性両方医師意味する】

− 医師患者の間の信頼を保ち、促進する;

− 住民健康利益のために、医師業務の質を確保する;

− 医師職業自由名声を守る;

− 職業倫理態度促進し、職業倫理に反する態度阻止する。

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B.職業従事のための規定

I.原則


§1 医師任務

(1) 医師個人および住民健康奉仕する。医業営業ではない。医業はその本質からみて自由である。

自由訳者、末尾に

(2) 医師使命は、生命維持し、健康を守り回復させ、苦痛を和らげ、死にゆく人を援助し、人類健康に対する重要性という観点から自然生命基盤保持貢献することにある。

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§2 医師一般義務

(1) 医師は、その良心医師倫理規則及び人間に従って職務を行う。医師はその使命と相容れない、または従うことに責任を持つことのできないような主義を認めてはならないし、そのような規定指示に従ってはならない。

(2) 医師はその職務良心に行い、職務関連して寄せられる信頼に応えなければならない。

(3) C章に掲げた適切医師としての職業従事原則が、良心職業従事のために必要である。

(4) 医師は、医師としての決定に関しては、医師でない者の指示に応じてはならない。

(5) 医師は、その職業従事に対して適用される規則についての知識を有していなければならない。

(6) 以下規則規定されている情報提供義務及び届出義務にかかわりなく、医師職業監視法的任務を満たすために医師宛に出した医師からの照会に、医師適切期限内に回答しなければならない。

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§3 容認できないこと

(1) 医師には、その職業従事の傍ら、医師職業倫理原則と相容れない他の仕事従事することが禁じられている。医師には、医師職業称号を付したその名前を、営業目的のために不正方法提供することが禁じられている。医師は、同じように、その名前または医師職業上の威信を、そのような方法使用されることを許してはならない。

(2) 製品またはサービス提供が、特殊事情によって医師治療必要要素になっているということがなければ、医師としての職業従事関連して品物及び他の対象物を渡したり、あるいは働きかけて渡させたりすること、並びに営業サービス提供したり、あるはそれを提供させたりすることが、医師には禁じられている。

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§4 生涯研修

(1) 職業従事する医師には、その職業従事必要専門知識保持かつ推進するのに必要となる程度生涯研修を行うことが義務づけられている。

(2) 医師は、(1) による生涯研修を行っていることを、医師に対して適切方法証明できなければならない。

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§5 質の保証

医師は、医師業務の質を保証するために、医師によって導入された措置参加し、そのために必要とされる回答医師に伝えることが義務づけられている。

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§6 好ましくない医薬作用報告

医師は、医師としての診療を行うことによって判明した好ましくない医薬作用を、ドイツ医師組織医薬委員連邦医師専門委員)に報告する義務がある。

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II.患者に対する義務


§7 診療原則行動規範

(1) すべての医学診療は、人間尊厳を守り、患者人格意思及び権利、とくに自己決定尊重して行われなければならない。

(2) 医師は、医師自由選択し、または変更する患者権利尊重する。他方において、救急または特別法的義務がなければ、医師診療を断ることが自由である。診療に当っている医師は、他の医師を呼んでほしい、または他の医師に回してほしいという患者根拠ある希望原則として拒否してはならない。

(3) 医師は、個人に対する医師としての診療、とくに相談を、手紙新聞または雑誌のみならず、情報伝達媒体またはコンピュータ通信ネットを介して行ってはならない。

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§81) 説明義務

医師は、診療するには患者同意必要とする。同意には原則として、必要説明個人会話で先に行わなければならない。

1)患者への説明のための提案指針)」は、ドイツ医師雑誌1990419日号、16号に掲載されている。【翻訳は岡嶋道夫:ドイツの公的医療保険医師職業規則、信山社、1996年」に掲載

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§9 守秘義務

(1) 医師は、医師資格において委ねられたり、知らされた事柄については−患者死後においても−秘密を守らなければならない。これには患者書面による報告患者に関する記録、X線写真、その他の検査所見も含まれる。

 (2) 医師守秘義務から解かれたとき、または公表することがより高い法益を守るために必要とされる場合には、秘密を明らかにする権限が与えられる。法的証言−及び届出義務関係がない。法律規定医師守秘義務制限を加えているときは、医師患者にそのことを教えなければならない。

(3) 医師は、その補助、および医療業務従事するための見習者に対して、秘密保持法的義務を教え、これを文書として記録しておかなければならない。

(4) 数名の医師同時または相次いで同一患者診察または治療する場合には、患者同意が得られるか、あるいはそのように推定できるならば、医師たちは相互守秘義務から解かれることになる。

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§10 記録作成義務

(1) 医師は、その職業従事において確認したこと及び施した処置について必要記録作成しなければならない。これは医師記憶に役立つだけでなく、規定に従った記録作成することにより患者利益にも役立つ。

(2) 医師は、患者要望があれば、原則として当人関連した診療記録を見せなければならない:医師主観印象または感知したことを含む部分除外される。請求があれば、患者費用負担をさせて記録のコピーを渡さなければならない。

(3) 他の法律規定によってそれより長期保存義務存在しなければ、医師記録診療終了後10年の期間保存しなければならない。

(4) 診療閉鎖後は、医師はその医療上の記録検査所見 (3) により保存するか、または管轄監督に渡されるように配慮しなけければならない。診療閉鎖または診療委譲により、患者に関する医師記録監督のため渡された医師は、これらの記録施錠して保管しなければならないが、患者同意があったときにのみ中を見たり、または引き渡すことができる。

(5) 電子データ記録媒体または他のデータ記憶装置上の記録は、変更破棄または合法使用を防ぐために、特別安全及び保護処置必要とする。医師はこれに関して医師提案注意しなければならない。

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11 医師検査及び処置方法

(1) 診療を引受けることにより、医師患者に対して適切検査及び治療処置を伴った良心なケアをすることが義務づけられる。

(2) 医師職業命令は、患者信頼無知、だまされやすさ、または頼るもののないことを悪用して、診断または治療方法適用することを禁止している。治癒するという成果を、とくに治らない疾患場合に、確実であるかのように確約することも許されていない。

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12 報酬及び報酬の取り決め

(1) 報酬請求適切でなければならない。算定に対しては、他の法的報酬規定適用されないかぎり、公的料金規則(GOA)が基礎となる。医師は、GOAによるリストを公正でない方法で下回ってはならない。報酬合意を結ぶ場合に、医師は支払い義務収入及び資産状況考慮しなければならない。

(2) 医師は、近親者、同僚、その家族、及び資力患者に対して、報酬全額または一部免除することができる。

(3) 関係からの申込があれば、医師報酬請求適当なものであるかについての意見表明を行う。

訳者注:この条文は主として私費診療(その多くは民間医療保険加入している)の場合対象にしている。公的医療保険場合医師料金規則GOAに基づいて行われるので、この条文直接関係はない。私費診療報酬額は、通常公的医療保険料金2.3倍というように、GOAを基準にしている。】

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III.特殊医療手続研究


§132) 特殊医療手続

(1) 倫理問題が生じていて、それに対して医師適応設定及び実施のための提案を定めているような特殊医療処置または手続場合には、医師提案を守らなければならない。

(2) 医師要求するものであれば、医師はそのような処置または手続医師届出なければならない。

(3) そのような業務採用される前に、医師医師要求により、人的及び物的条件提案を満たしていることを証明しなければならない。

2)ドイツ医師雑誌22号、1985529日号に発表された「卵管配偶移入移植を伴う人工受精、及び他の類似方法実施のための指針」は、引き続き§13により効力を有する。

【この指針はその後改訂され、翻訳は岡嶋道夫:ドイツの公的医療保険医師職業規則、信山社、1996年」に掲載されているが、この翻訳のあとも、多少改訂が行われている】

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§14 出生生命保持妊娠中絶

(1) 医師は、原則として出生生命保持することが義務づけられている。妊娠中絶には法的規定必要である。医師は、妊娠中絶を行うこと、または控えることを強制されてはならない。

(2) 妊娠中絶を行った、または死産を扱った医師は、死んだ胎児誤用されないように注意をしなければならない。

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§153) 研究

(1) 医師は、人体に対する生物医学研究−単なる疫学研究計画場合は除く−を実施する前に、医師または医学設置された倫理委員によって、その計画と結びついた職業倫理的及び職業法律問題に関して助言を受けなければならない。同様のことは、生きている人の配偶及び生きている組織を用いた法的許可された研究にも適用される。

(2) (1)によって行われる助言場合に、1964年(ヘルシンキ)の世界医師宣言1975(東京)、1983年(ベネチア)、1989年(香港)及び1996年(ソマーセット・ウエスト)の改訂版を基本とする。

(3) 科学研究及び教育目的のためには、患者匿名保証されるか、または患者同意表明したときだけ、守秘義務の下にある事実所見原則として明らかにして差支えない。

(4) 研究成果公表においては、医師委託者に対する関係及びその関心利害?】は公けにされなければならない。

3)98回ドイツ医師大会での職業規則§3(7)編纂された指針は、連邦医師理事会によって199138日に議決されている。

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§16 死にゆく人に対する付添い

医師は、避けられない死を引伸すことが、死にゆく人に対して、期待を持てずに苦しみを延引するだけと思われる場合には、患者意思優先することであるが、生命延長処置を止めて、苦痛緩和することに限定して差支えない。医師は死にゆく人の生命積極短縮させてはならない。医師は、自分関心だけでなく、第三関心も、患者の幸せよりも上に置いてはならない。

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IV.職業態度

1.職業従事


§17 開業及び診療従事

(1) 病院及び認可された私的病院以外において外来医師業務従事することは、法的別途規定で認められていないかぎり、自分診療における開業ということになる。

(2) 病院または認可された私的病院で行うか、または法律規定許可されているのでなければ、場所を転々と変えること、営業的な形であること、あるいは営業的な療術と言えるような業務を行っている雇用主のもとで診療医師業務従事することは、職業倫理に反する。

(3) 職業上の要件侵害されないで職業規則を守ることが保証されるならば、医師申請により(1)及び(2)命令禁止例外を認めることができる。

(4) 開業診療看板によって明示しなければならない。看板構成に関する詳細はD章 No.2 規定する。その場合医師は、診療時間診療地域及び専門実情に応じて決定する権限があり、また診療時間診療看板明示する義務がある。患者直接接しないで従事する医師は、医師に届け出れば、診療看板による開業案内を行わなくてもよい。

(5) 医師は、開業場所及び時間、並びに全ての変更医師遅滞なく報告しなければならない。

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§18 支所診療診療スペース延長

(1) 複数場所において診療時間設定することは医師に許されていない。住民医療供給確保するために必要場合には、医師支所診療診療時間)の許可を出すことができる。

(2) 医師は、患者診療を訪れたあとのケアとして、専門検査または治療目的(例えば手術医療技術業務)だけのために、開業場所の近くに検査及び治療スペースを持つことが許される(診療スペース延長)。同様のことは、他の医師たちと共同組織された診療時間共同救急診療にも適用される。

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§19 被雇用診療医師従事

医師自分診療では本人従事しなければならない。診療での医師共働者(被雇用診療医師)の従事は、そこの開業による診療指導前提条件となる。医師は、医師共働者の従事医師に届け出なければならない。

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§20 代理

(1) 開業原則として相互代理する心構えをしなければならない;引受けた患者代理終了後に戻さなければならない。医師原則として、同じ専門科の医師だけに代理をさせることができる。

(2) 診療実施代理が12ヵ月のうち合計して3ヵ月以上に及ぶときは、診療代理業務医師に届け出なければならない。

(3) 死亡した医師診療は、その亡人または扶養権利のある家族のために、通常歴年が終ったあと3ヵ月の期間までは、他の医師によって継続することができる。

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§21 賠償責任保険

医師は、その職業業務枠内での賠償責任請求に対して、十分保険をかけることが義務づけられている。

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§22 共同職業従事

共同職業従事のために、D章 No.7 から 11 規定された医師職業従事共同共同診療医師パートナシップ)、医師による組織共同(例えば診療共同機器共同)、及び医学協力共同、並びに診療連携が認められている。

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§23 勤務環境医師

(1) この職業規則規定は、私法上の雇用関係または公法上の勤務関係枠内において医師業務を行う医師にも適用される

(2) 上記雇用または勤務関係においても、医師は、その医師としての業務に対して、報酬によって医師医学決定独立性に影響を及ぼすような報酬を受けることに妥協してはならない。

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§24 医師業務

職業上の要件が守られるかどうかを審査できるようにするために、医師はその医師業務に関する全ての契約締結前に医師提出しなければならない。

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§25 医師鑑定意見意味も含む】と証明

医師としての鑑定及び証明提出する場合医師必要慎重さをもって行い、また誠心誠意をもって医師として信ずるところを述べなければならない。医師提出義務づけられ、または提出することを承諾した鑑定証明は、適切期間内に引き渡されなければならない。共働者【職業教育を受けている者を指す】及び卒後研修医師に関する証明は、原則として申請提出後3ヵ月以内に、不合の時は即刻発行されなければならない。

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§264) 医師救急業務

(1) 開業救急業務参加することが義務づけられている。医師からの申請があれば、重大理由があるときは救急業務から全部部分、または一時免除することができる。これにとくに該当するのは:

·         医師身体障害によってそれが可能でないとき、

·         特別負担のかかる家族介護により参加要求できないとき、

·         救急ケアを伴った臨床待機業務参加しているとき、

·         女医に対しては、その妊娠公表時点から分娩12ヵ月まで、

·         65歳以上医師に対して。

(2) 救急業務設定実施詳細に関しては、医師によって発行される指針標準となる。救急業務参加義務は、定められた救急業務地域適用される。

(3) 救急業務設定は、現に診療に当っている患者のケアのために、その病状必要としているケアを担当するという義務から、医師免除するものではない。

(4) 医師は、(1) による救急業務参加から免除されない間は、救急業務のための生涯研修もしなければならない。

4)医師救急業務のための指針」に対する提案は、ドイツ医師雑誌29号、1978720日、に発表された。【その翻訳は岡嶋道夫:ドイツの公的医療保険医師職業規則、信山社、1996年に掲載

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2.職業上のコミュニケーション


§275) 許可宣伝職業従事に関する許可された客観情報

(1) 医師自分職業業務または他の医師職業業務に対する宣伝を行ってはならない。客観情報は、D章 No.1-6 原則による形、内容及び範囲で許される。

(2) 医師は、同人禁止されている宣伝を、他人に行わせたり、黙認したりしてはならない。このことは、トリウム病院研究所、その他の事業における案内の中で、医師推奨されるような形で取り上げられることにも適用される。医師は、同人医師業務に関して宣伝性格を有する報道及び写真報道が、同人名前写真またはアドレス使用して公表されることを容認してはならない。

5)医師発表活動のための指針」はドイツ医師雑誌2号、1979111日、に発表された。【その翻訳は岡嶋道夫:ドイツの公的医療保険医師職業規則、信山社、1996年に掲載

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§28 社会への貢献メディア活動

医師発表協力客観情報限定され、個人並びに医師行動宣伝的に強調されないのであれば、メディアにおける医学内容発表または医師協力は許される。同じことは医学内容一般への講演にも適用される。

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3.医師による職業上の共同作業


§29 同僚としての共同作業

(1) 医師はお互に同僚として行動しなければならない。他の医師処置方法問題となっている鑑定の中で、医師としての最高知識をもって自分信念を述べることは、医師義務抵触しない。処置方法、または医師職業上の知識についての非客観批判、並びに人物に関する軽蔑的な発言は、職業倫理に反することである。

(2) 同僚不正行為で、その診療業務から、または職業業務競争者として排除することは、職業倫理に反することである。医師が卒前または卒後教育最低3ヵ月従事した診療居住圏内に、診療所有者の同意なしに1年以内開業することは、とくに職業倫理に反することである。不正行為同僚適正報酬をせずに、または報酬なしに従事させること、またはそのような従事に手を貸したり黙認することは、同様職業倫理に反する。

(3) 他の医師医師業務のために患者のところに呼んだ医師は、本人だけが患者に対して請求作成権のある医師であれば、呼ばれた医師適切報酬保証することが義務づけられる。被雇用医師請求の書ける医師のために清算可能給付を行ったときは、この給付による収益適切な形で関与した共働者に支払われなければならない。

(4) 患者または非医師が居るところで、医療行為に対する異議及び叱責するような教訓は止めなければならない。このことは上役及び部下としての医師、及び病院勤務場合にも適用される。

(5) 卒後教育指導する資格を有する医師は、与えられた機会枠内で、共働者【研修医】が卒後研修に努めるという義務を損うことなく、卒後研修規則によって選んだ卒後研修課程において、共働者の卒後教育指導をしなければならない。

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4.第三共同作業をする場合における医師独立性の保証


§30 医師第三との共同作業

(1) 医師には、医師でなく、また職業従事している同人共働者でもない人物一緒診察したり処置したりすることは許されていない。これは、医師職業または医療補助職業のための教育を受けている者には適用されない。責任を持った医師患者同意したときには、患者家族及びその他の人は、診察処置の場に居ても差支えない。

(2) 医師医療職に所属する者の責任範囲相互明瞭に分かれているときには、他の医療職に所属する者との共同作業は許される。

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§31 報酬による患者斡旋は許されな

患者または検査材料斡旋することに対して報酬または他の便宜約束させたり、認めさせたりすること、または自ら約束したり、または認めることは、医師には許されていない。

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§32 贈物及び他の便宜受領

医師としての判断影響が及ぶかもしれないと考えられるときには、医師患者または第三に、通常程度の小さな感謝を超えるような贈物または他の便宜約束させたり、またはそれらを受領することは許されていない。

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§33 医師産業

1医師医薬療法装具または医療機器製造者のために仕事を行なった場合(例えば、開発治験及び鑑定)、このために定められる報酬は、行った仕事相応するものでなければならない。製造者の情報提供する催物を訪れるときに、宣伝用の贈物または便宜を受け取ることは、価格僅少なものでなければ、禁止されている。1項に示した製品購入により、製造者または販売人から許されていない便宜を受けることに対しても、同様適用される。

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§34 医薬療法、及び補助具の方、推薦及び鑑定

(1) 医師は、医薬療法、及び補助具の処方に対して、製造者または販売人に、報酬またはその他の経済便宜要求したり、または受領することは許されていない。

(2) 医師は、医師用の医薬などのサンプル有償他人に渡してはならない。

(3) 医師には、医薬療法補助具、体の手入れ用品、または類似の品について宣伝講演をしたり、または宣伝のために特定鑑定意見)を出すことは許されていない。

(4) 医師は、その処方悪用することを助けてはならない。

(5) 医師は、十分理由なくして、患者特定薬局商店、または保健医療給付提供指示することは許されていない。

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§35 生涯教育スポンサ

生涯教育企画種類内容及びプレゼンテーション医師主催者だけで決定されるときは、企画費用として適切範囲であれば第三スポンサ)の寄付を受け取るが許される。スポンサとの関係案内実施のさいに公表されなければならない。

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C.行動規定医師の正しい職業従事原則


No.1 患者との対応

医師の正しい職業従事においては、医師患者対応するときに、以下のことが要求される、

·         患者人格自己決定権利尊重する、

·         患者プライバシ領域尊重する、

·         実施しようとする診断治療について、場合によってはその代替について、及び患者健康状態判断を、患者理解できる適切方法で伝えること、そしてまた勧めた検査治療方法拒否する権利についても尊重する、

·         患者境遇に気をくばる、

·         考え方が違っていても、客観と正しさを保持する、

·         患者の伝えることを適切注意をもって聞き、患者批判には客観対応する。

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No.2 診療原則

診療を引受けて実施するときは、医術規定にしたがった適切医学方法良心遂行することが要求される。これに該当することは、

·         自分能力診断及び治療任務解決するに至らないときは、適切時期に他の医師紹介する、

·         治療を進めるために、適切時期患者を他の医師転送する、

·         セカンドピニオンを求める患者要望に逆らわない、

·         共同または引き継いで治療にあたる医師に、患者についての必要報告適切時期に伝える。

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No.3 医師でない共働者との対応

医師の正しい職業従事では、医師医師業務実施するのに次のことが要求される

·         医師でない共働者を差別扱いせず、特に労働規定を守る。

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D.医師の個々の職業義務に対する補充規定

 

I.職業上のコミュニケーションに対する規定、とくに職業業務に関する客観情報許容された内容範囲

 


No.1 他の医師情報

医師自分給付提供することに関して他の医師に伝えて差支えない。情報伝達は、公認された卒後研修規則によって取得されているが、標榜が許されていない資格選択的卒後研修特殊専門領域【これらは卒後研修規則規定されている研修種類である】)に及んで差支えない。自分業務情報伝達するときには、あらゆる宣伝強調禁止されている。

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No.2 診療看板

(1) 医師はその診療看板に、氏名及び医師としての称号、または卒後研修規則によって標榜できる医師称号専門重点領域、及び付加領域称号)を示し、診療時間公示しなければならない。医師該当する専門重点領域、及び付加領域において時折従事するだけというのでなければ、取得した専門重点領域、及び付加領域称号を、卒後研修規則によって許可された形式標榜することができる。

(2) 診療看板には、(1)に述べたこと以外に、アカデミック医学学位自宅及び電話番号を含めてよい。他のアカデミック地位は、学部名称関連あるものだけを示すことができる。

(3) 以下事項は、条件が整っていれば、診療看板に示すことができる:

a.       疾病金庫認可

b.       災害保険コンサルタントDurchgangsarzt

(4) 院外医師Belegarztである医師は、診療看板に「院外医師」と書き加え、院外医師業務を行う病院名称を付け加えて表示することができる。

訳者注:院外医師Belegarztというのは、専門開業で、特定病院契約を結び、病院施設職員を使って自分患者診療、例えば手術ができる医師のこと。ドイツ全体では、病院従事する医師の約6%が院外医師で、受け取った診療費の一部契約により病院に渡すことになっている。】

(5) 外科侵襲を超えた外来手術実施し、医師が設けた質保証処置を満たしているときは、外来手術を行う医師は、診療看板に「外来手術」と書いて告示することができる。

(6) 医師は、下記場合、「診療クリニックPraxisklinik」という表示によって、特殊給付方式特殊診療設備診療看板告示することができる、

a.       要求のある場合に、外来患者給付枠内で、医療及び看護のケアを夜間においても保証する、

b.       医療処置必要条件並行して、承認された質保証規定によって必要とされる機器人的及び組織安全措置を、退院した患者緊急時に対応するために満たしている。

(7) (4)から(6)に述べられた医師は、医師要望に応じて医師に、届出必須条件審査するために必要となる書類提出しなければならない。医師補足情報請求する権限を有する。

(8) 1教授Professor」の称号は、医学からの推薦により、大学または管轄の州の省から授与されたものであれば標榜することができる。 2医師判断によりドイツの「Professor」の称号同等であるときは、外国大学医学から授与された称号にも適用される。2項によって標榜できる外国取得した称号は、外国称号授与録の記載準拠する。

(9) 医師職業従事共同共同診療医師パートナシップ、D章No.9)の場合は、パートナシップ団体名称関係なく、共同包含される全ての医師名前医師称号表示することができる。提携は法の定めた方式相応して、「共同診療」または「パートナシップ」を付けて発表することができる。職業従事しなくなったパートナ、別れたパートナ、または死亡したパートナ名前継続標榜することは許可されない。医師共同診療またはパートナシップが、D章No.9により、いくつかの診療所在を有するときは、各パートナに対して診療所在を加えた形で表示しなければならない。

(10) D章No.9による協力のときは、医師共同診療看板に、協力パートナたちと一緒に載せさせることができる。D章No.10によるパートナシップ場合、その職業称号呈示規定されているときは、医師医師称号または他の標榜できる称号呈示することだけが許されている。

(11) 組織共同提携告知しなくてもよい。

(12) 上述規定で許されていないものを付け加えて標榜することは禁止されている。

(13) 診療看板の形と取付けには以下規定適用される:

a.       診療看板住民医師診療を示すものでなければならない。それは押しつけがましい形に作って取付けたり、通常の大きさ(約35×50cm)を超えてはならない。

b.       特別理由存在する場合、例えば診療入口が隠れている場合には、医師医師同意を得てさらに医師看板取付けることができる。

c.       診療移転場合には、医師は引越し前の家に、半年間そのことを告げるものを取付けることができる。

(14) 医師承認をえて、§18によりスペース延長した医師は、必要場合には氏名医師称号、及び「検査場所」または「治療場所」の指示を、それ以外のことを付け加えずに、案内看板表示して差支えない。

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No.3 広告一覧

(1) 開業または認可に関する広告新聞にだけ許される。それは診療アドレスの他には、医師看板に許されている表示だけを含み、開業公示または保険診療採用から3ヵ月の間に3回だけ同じ新聞掲載して差支えない。

(2) その他には、新聞広告は、診療閉鎖診療譲渡診療長期的に不在にする、または病気、並びに診療移転及び診療時間変更、または電話番号変更だけが許される。そのような広告はその場合最高3回公表することができる。

(3) このような新聞広告形式内容は、地域慣習に従わなければならない。

(4) 医師たちは、以下条件に適っているならば、社会に対する特定情報メディア登録させて差支えない:

a.       メディアは、無料基本登録で、全ての医師を同じ条件同等表示するようにしなければならない。

b.       登録原則として公示できる表示だけに止めなければならない。

これ以外事項を含ませるべきであるとされる場合には、No.5規定範囲内での事項を含んでいて、リストの発行者による表示体系方法公表前に管轄医師調整が整っていれば、医師登録させることができる。

(5) 許可された診療連帯(D章No.11)を結んでいる医師は、これを診療提携として新聞広告に3回まで、診療単独表示付加して公示して差支えない。

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No.4 便箋処方用紙スタンプ及びその他の文通における記載

書式のその他の記載に対しては、No.2規定適用される。医師業務称号文通のときに呈示して差支えない;同じことは、卒後研修規則により業務場所だけで標榜することのできる称号にも適用される。

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No.5 診療内における患者への

(1) 医学内容(2)及び患者治療のための組織に関する指示(3)客観情報は、医師とその能力宣伝的に表現しなければ、医師診療内に患者に教えるために表示することが許される。

(2) 医学内容客観情報というのは、医師診療内で患者特別検査治療処置準備をするために適っているとみなされる記述、あるいはその医師専門科の枠内であって、卒後研修中核形成していない個々の検査及び治療手続に関する指示を含んでいる。

(3) 診療組織に関する指示では、医師使用している「組織」、つまり診療内並びにそこでの組織だった業務の流れの中で、患者関係してくる指示対象となる。診療組織に関して指示対象となりうるのは、診療時間特別診療時間電話番号診療時間連絡法、診療公共交通機関電車)との関係駐車に関する指示障害に対する特別指示に関して示すことである。

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No.6 コンピュータ通信ネットにおいて公共可能医師情報

コンピュータ通信ネットにおける公共呼出可能医師情報、とくに診療情報(「virtuelle Schaufenster)に対しては、§§27及び28、並びにD章No.1, No.2及びNo.3(3) 適用される。患者のために診療内だけで許されている表示(D章No.5)の公表は、利用者が検索過程において、最初診療看板に対して許可されている表示だけを含む医師ホームページの扉だけに到達することができ、その上でさらに利用質問によって診療情報到達できることが、信頼できる技術プロセスによって保証されているときには、コンピュータ通信ネットにおいて許可される。

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II.共同作業共同診療パートナシップ医学協力共同診療連帯

共同作業末尾訳者注1参照

 


No.7 職業権利保留

この職業規則規定パートナシップ共同法(自由所属者のパートナシップ共同に関する法律[PartGG]1994725日−BGBl. IS. 1744)に制限を設けていれば、PartGG§1(3)に基づき、この医師職業規則の方が優先する。

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No.8 医師職業従事共同

(1) 職業従事共同に対して、医師自己責任自立並びに非営業職業従事保証する団体の型だけを選択できる。そのような団体の型は、共同診療に対する民法団体§705ff.BGB)及び医師パートナシップに対するパートナシップ団体である。その職業従事する医師たちだけが提携できる。医師は一つの職業従事共同だけに所属できる;病院または同等施設との協力だけは例外である。

(2) 1職業従事共同は、一つの共同診療場所だけで許可される。 2独特専門内容であるために患者とは直接に結びつかない形で、医師として継続的に従事する医師は、職業従事共同に対して、共同の各パートナがかれらの医師業務を行っている中核的な診療場所で、業務を行うという形で提携することができる。1項が適用される医師または医師たちと提携するときには、2項の条件を満たす医師は、自己オフィス開業場所診療場所業務場所】を持つことも許可される。

(3) 共同職業従事の全ての型において、医師自由選択保証されなければならない。

(4) 職業従事共同への提携及び組織共同への提携は、関与する医師がその医師に届け出なければならない。関与する医師たちに対して、複数医師管轄する場合には、各医師各自管轄医師に、提携関与する全ての医師を知らせることが義務づけられている。

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No.9 医師及び他の専門所属者との間の協力職業従事

(1) 1医師は、自立して従事し、また自己責任職業従事する資格を得ている職業所属者と、(2)によって協力職業従事のために提携することができる(医学協力共同)。 2協力は、PartGGによるパートナシップ団体の形、または民法団体の法形式における協力共同形成に関する書類契約によるときにだけ許可される。 3医師に対しては、他のそれぞれの職業所属者との提携であって、しかも後者医師と結びつき、治療行為のさいに同方向指向し、または統合された診断または治療目的を、治療予防リハビリ領域においても、場所的に近く、関与する総ての職業所属者の調整がなされている共同作業によって満たすことができるという状況のときにだけ、個別許可される。さらに、協力契約以下のことを保証しなければならない、

a.       医師自己責任自立した職業従事保証されること;

b.       患者に対するパートナ責任範囲分離していること;

c.       医師がその職業法によって、共同の中で自立して従事する他の専門所属者にそのような決定を任せてはならないときは、医学決定、特に診断治療に関しては医師独占事項であること;

d.       医師自由選択できる原則保証されていること;

e.       治療に当る医師は、その診断方法の支えのため、または治療のために、共同協力する職業従事者として、他の者を参加させることができること;

f.        医師職業法的規定遵守、とくに支所診療原則禁止記録作成のための義務宣伝禁止、及び報酬請求作成に対する規定が、他のパートナたちによって遵守されること;

g.       医学協力共同は、Rechtsverkehr意味不明】においてパートナ全員名前職業称号を届け出ること、そして登録されたパートナシップ団体であるときは「パートナシップ」と付け加えて標榜するという義務を負うこと。

(2) 医師は、(1) 3項の規則考慮して、保健医療以下職業所属する者1名または若干名とだけ、医学協力共同提携することができる:

a.       歯科

b.       心理精神療法及び小児及び春期精神療法、ディプロームを有する心理

c.       臨床化学者、栄養科学及び他の自然科学

d.       ディプロームを有する社会教育士、ディプロームを有する治療教育

e.       助産

f.        言語治療及び言語療法同等の職にある者

g.       作業療法

h.       理学療法職種複数)に所属する者

i.         医療技術助手

j.         国家認定介護職(複数)に所属する者

k.       食事療法助手

医師協力することが認められた職業上の協力構成は、(1) 3項の規則により個別調整される;医師一緒に、その専門領域相応して共同で行うことのできる医療目的を、その職業能力種類によって目的関連づけることができるような前掲職種所属者が協力するのであれば、上記事項は満たされることになる。

(3) 医学協力共同勤務する医師は、医師であるパートナ指示権限にだけ従って差支えない。

(4) 医師医学協力共同の一つにだけ加わることができる。

(5) 医学協力共同における医師協力は、医師承認必要である。医師には協力またはパートナシップ契約提示しなければならない。医師に対する上述条件が満たされれば、承認を与えることができる。請求があれば医師追加回答提出しなければならない。

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No.10 その他のパートナシップへの医師関与

医師は、本人パートナシップにおいて人を医療行為をしないのであれば、PartGG §1 (1)及び(2)によるパートナシップにおいて、前掲のD章 No.9 に示された他の職業所属者とともに一緒に働くことが許される。そのようなパートナシップへの加入医師に届け出なければならない。

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No.11 診療連帯

提携が、公的医療保険保険への契約給付枠内という共通給付目的により、保険協会措置に基づいて設立されていて、そのことへの心構えをした総ての医師に、診療連帯会員資格が開かれているならば、医師は、職業従事共同または組織共同を作らないで、その自立した職業従事診療場所維持したまま、医師への提示必要書面による契約により、診療連帯提携を結ぶことは許される。会員資格への可能制限されているならば(例えば地理的または質的基準)、それを定めている基準給付任務に対して必要であり、また不利になるような差別待遇であってはならないし、医師に対して公開されていなければならない。承認された診療連帯に入っている医師は、医学的に必要であったり、または患者希望したときには、診療連帯所属していない医師への転送を妨げてはならない。

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III.国境を越えた医療従事場合義務

 


No.12 他のEU加盟国におけるドイツ医師診療

医師がその開業の傍ら、またはこの職業規則適用地域内での医師職業従事の傍らに、欧州連合(EU)の加盟国において、診療業務を行うか、あるいは他の医師職業業務従事するときは、このことを医師に届け出なければならない。医師は、他の加盟国で従事する間は、この職業規則適用地域自分患者規則通りのケアが施されるために、安全処置を講じなければならない。医師は、該当するEU加盟国の法律による診療開設許可を、医師証明することを要求することができる。

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No.13 他のEU加盟国からの医師国境を越えた医療従事

EUの他の加盟国において開業した、またはそこで職業業務従事した医師が、開業ということではなくて、この職業規則適用地域一時医師として従事するときは、この職業規則規定を守らなければならない。医師がこの職業規則適用地域において、その業務についてのを知らせをするだけに限るとしても、上記のことは適用される;このような業務内容案内においては、この職業規則によって許されている枠内事項だけが認められる。

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IV.特別医学状況における義務

 


No.14 ヒト胚の保護

研究目的のためのヒト胚の作成、並びに胚への遺伝移入及びヒト胚と全能細胞での実験禁止されている。女性臓器への移入前の胚への診断処置禁止されている;胎児保護法§3意味での重症伴性遺伝疾患除外する処置問題となるときは除外される。

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No.15 人工受精、胚移入

(1) 母体外での細胞人工受精及びそれに引き続いて子宮へ胚を移入すること、または遺伝な母の卵管への配偶または胚の移入は、不妊治療方法としての医療行為であり、§13 による場合にのみ許される。他人細胞を用いること(細胞提供)は禁止されている。

(2) 医師は、人工受精または胚移入を手伝うことを義務づけるらることはない。

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訳者1自由共同作業について。


医師職業規則1995年の改訂において、従来医師業務共同作業を、1994725日に公布された「自由従事者のパートナシップ共同に関する法律 PartnerschaftsgesellschaftsgesetzPartGG]」の規定適合するように改訂した。この規則での共同商業行為をしないもので、パートナシップ所属できるのは私人だけと規定している。

この規則での自由種類下記自立した職種となっている:医師歯科師、獣医師、療法医療体操士、助産治療マッサー士、心理資格弁護会員弁理公認会計税理士国民経済及び企業経済顧問専門宣誓した会計税務代理技師建築商業化学水先案内人、専業鑑定ジャーナリスト写真報道家、通訳者、翻訳者及び類似の職、並びに科学芸術文筆教師及び家庭教師。なお、これらの自由職種商店手工などの自立営業者との区分は、必ずしも統一されたものではなく、他の国にはないドイツに特有分類である。】 本文に戻る

訳者2: 「岡嶋道夫:ドイツの公的医療保険医師職業規則、信山社、1996年」】

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訳者解説 1

1997年の改定では、全体スタイル条文配列が著しく変更された。今回の版で目立つ点は以下の通りである。

§5 質の保証に対する医師義務

§9 守秘義務条文多少変更

§10(2) 診療記録開示義務づける

§16 「死にゆく人に対する付添い」の態度を示す

§22 共同職業従事について全面追加、その詳細

D章 II 共同作業共同診療パートナシップ医学協力共同診療連帯

今回改定詳細記述されるようになったことは、他の医師、他の医療従事者と共同従事する場合規定心得である。この共同職業従事規定複雑にみえるが、§22が示すように次の4つのカテゴリ分類される。

·        職業従事共同=一つの診療複数医師がお互いにパートナとして従事する。

·        組織共同診療機器という物質な物、あるいは補助だけを共有するという形。

·        医学協力共同医師以外職種の人とパートナシップ関係を持つて協力する。

·        診療連帯=それぞれ独立した診療の間での連帯

1997以後職業規則改定が行われているので、そのうちにそれらをまとめてみたいと思っている。

また、医師職業規則変遷を知ることは、このような規則を持たない私たちにとって意義あることと考えられるので、すでに掲載してある1993年版(D101)のほかに、1970年版(D118)今回掲載することにした。

 

訳者解説 2


「ドイツ医師のための職業規則」は、医師の守るべき義務及び倫理を示したものである。

ここに示したものは1997年の改訂版であるが、時代要請に応ずるため頻繁改訂が行われ、1995年にも多数規定が加えられた。1993年版の翻訳は、下記訳者注2に示した書物、及び下記の私のホームページにおいて資料D101として掲載されている。

この規則改訂は、定例的に5月に開催されるドイツ医師議(ドイツ連邦医師代議会)において議決され、その内容はドイツ医師雑誌Deutsches Arzteblatt掲載される。この会議議決された職業規則は「原型Muster」と称せられる。この原型職業規則は、その後各州の医師において議決され、その州の監督承認することによって法的効力を持つことになる。現実として、総ての州において、この職業規則がほぼ原形のまま採用されている。

ドイツの州医師医師自治組織であるが、州政府から医師監督委譲されている。州の医療職法は州医師組織任務などを規定しているが、それに従って州医師医師職業規則をはじめ卒後研修規則救急業務規則など、各種規則を州政府承認の下に作成して実行し、各種医療行政関連法規で定められた諸事項を実施する。つまり自治組織でありながら自主管理の形で行政行為も行うという特殊任務を果たしている。そして州政府は、それが適切に行われているかどうかを監視する立場にある。

医師業務会員医師会費各種手数収入によって運営され、州政府からは財政的な援助を受けない。会費の額は医師としての収入対応し、その率は法律によって定められる。医師としての業務従事する者は総てその会員になる義務がある。しかし、監督所属する医師には加入義務はない。

連邦医師は、各州からの医師代議(医師数に比例)によって構成されているが、州医師と異なり私的組織であって、ドイツ医師議を開催して議決を行う。その理事会によって、この医師職業規則や卒後研修規則をはじめとする各種規則指針勧告などが企画立案される。連邦医師経費は州医師からの拠出による。

一方連邦医師医師免許規則(医学の卒前教育医師国家試験規定)などは連邦厚生管轄となっている。

ここに示した「ドイツ医師のための職業規則」は1956年に制定され、その後頻繁改定が行われてきたが、1997年の改定では内容体裁大幅に改められた。

医師監督医師との間、医師相互間、医師患者との間で、医師職業義務違反倫理違反などが生じた場合に、医師における懲戒医師職業裁判での審理、あるいは通常裁判における裁判において、この職業規則判断基準となるので、強い拘束を有している。

ドイツには医師職業裁判という制度があり、その手続等を規定した法律は各州ごとに制定されているが、その基本共通していて、裁判職業裁判医師から選出された名誉裁判とで構成される。そのような法律として、本ホームページD107医療職法」にノルトライン−ヴぇストファーレン州のものを掲載した。

医師職業裁判医師義務違反倫理違反審査し、医師違反が認められれば戒告罰金医師免許停止剥奪、あるいはそれらの併科処罰として決定する。その判決集も出版されているが、判決の数ケースをこのホームページM408として紹介しておいた。

http://www.hi-ho.ne.jp/okajimamic/m408.htm

医師職業規則をはじめとして、ドイツ連邦医師作成する各種規則指針提案、また医師大会議事などは、連邦医師刊行するドイツ医師雑誌に必ず掲載される。この雑誌一般臨床医向、勤務医向などに分かれていて ABC の3種類の版があり、同時発行されるが、頁数が異なる。これは主として広告頁に原因するが、主要記事は同じ号(日付)に掲載されている。国内図書は異なった判を購入しているので、検索にさいしては注意を要する。1996以降主要記事インターネットで読むことができる。

http://www.aerzteblatt.de/

なお、各州はそれぞれの州医師雑誌発行しているが、それには生涯研修プログラムなど、より現場医療密着した情報掲載されている。

この医師職業規則1976年版の翻訳下記論文掲載されている。

宇都木伸:西ドイツ医師職業裁判東海法学 第1号 127-195,1987

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