医師免許規則

Approbationsordnung für Ärzte

 

注:[§]は[条]を意味する。§234節は第234節(文)ということになる。

 

1章 医師の教育

§1 医師教育の目的と構成

(1)  医師の教育は科学的基礎に基づき、また実務ならびに患者に関連付けて実行される。それは以下のような目的を持つ、【この項は納得のゆく訳文ではありませんが】

−基礎医学的、諸科を包括する、そして方法に関する知識、

−実際的な技能と精神的な能力、

−医学の知的および倫理的な基礎、

−個別および全体に義務づけられた医師の立場、

を教えるが、それは患者の精神的および社会的状態、および科学、環境、社会の変化を配慮して、予防、診断、治療およびリハビリを自己責任を持って自立して処理できること必要とする。卒後研修のための能力を教え、永続的な生涯研修と他の医師や保健医療における他の職種の者との共同作業への準備を促進させる。

(2)  医師の教育は以下のものを包括する、

1.        大学における6年間の医学教育。最終学年は病院における48週間の総合的実地教育である;

2.        医学教育のあと18ヶ月間の実地研修医師としての従事;

3.        ファーストエイドErste Hilfeの教育;

4.        2ヶ月の看護業務;

5.        4ヶ月のファムラツールFamulatur(病院・社会での医学研修);

6.        以下の試験

a) 医師前期試験

b) 医師試験、これは3部に分かれる。

医師試験第3部の試験期間を含めると、規定勉学期間は63ヶ月となる。

(3)  に示した試験の実施は:

1.        医師前期試験は2年間の医学の勉学後に、

2.        医師試験第1部は医師前期試験合格後に1年間医学を勉学した後に、

3.        医師試験第2部は医師試験第1部に合格し、医師前期試験合格後3年間の医学の勉学を行った後に、

4.        医師試験第3部は医師試験第2部合格後1年間医学を勉学した後に。

 

§2 授業計画

(1)       大学は、§11)に示した目的を達成し、学生がこの規則で規定された試験が要求する知識と能力を習得できるように教育を行う。大学はこの目的のために、添付資料 1 から3までに規定された実習、クルズスおよびセミナーだけでなく、実習の準備やそれに伴う系統的講義などの授業計画を実施する。授業計画を示す場合に、これらの授業を受けることが教育の目的達成になることを明示する。授業は、可能なかぎり、また合理的であるならば個々の専門領域ではなく、教える対象に向けたものとすべきである。

(2)       実習とクルズスでは、実際に観察することが保証されなければならない。教えるために必要であれば、小グループで教育しなければならない。臨床実習の分野では、患者について教育することが優先する。いずれの場合も、患者について直接教育を受けるときの学生数は少数でなければならないが、ベッドサイドの教育では、学生数は原則として5名を超えてはならない。実務的技能と能力を習得するのに必要であれば、学生に自ら患者を扱う機会を与えなければならない。教育によって患者に耐えがたい負担をかけることは避けなければならない。教育は、合理的であるならば、個々の専門領域ではなく、教える対象に向けたものとすべきである。

(3)       セミナーでは、講義と実習で教えた教材を、さらに深く、また応用できるように討論(論究)されなければならない。セミナーでは、学生が重要な医学的関連性、とくに基礎と臨床の教材をはっきりと関連付けられることを目標とする。患者を提示することも含まれる。1組のセミナーに参加する学生数は20名を超えてはならない。もう1組を作ったとした場合、それが10名以下となってしまうようなときは、20名を超えてもよいが、この場合にはどの組も数が均衡するように配分しなければならない。

(4)       学生は、大学の学習規則に書いてあれば、(1)に示された実習、クルズスおよびセミナーとその準備またはそれに伴って行われる講義に規定どおりに成果をあげて出席したことを、添付資料4の様式で証明しなければならない。学生が実習またはクルズスにおいて必要な知識と能力を身に付け、それを実際に応用することを知ったときに、(2)による実習またはクルズスに参加して成果をあげたことになる。学生がセミナーで、教材を関連付けて把握し、これを述べることが可能であることを示したときに、(3)によるセミナーに参加して成果をあげたことになる。

 

添付資料 (§212

医師前期試験の申請のさいに、証明書が必要な実習、クルズスおよびセミナー

19891221日改定)

I.

1.

医学の自然科学的基礎

 

 

 

1.1

医学生のための物理実習

 

 

 

1.2

医学生のための化学実習

 

 

 

1.3

医学制のための生物学実習

 

 

2.

生理学実習

 

 

3.

生化学実習

 

 

4.

マクロ解剖学のクルズス

 

 

5.

ミクロ解剖学のクルズス

 

 

6.

医学心理学のクルズス

 

 

 

以上の時間数合計は少なくとも

480

 

7.

生理学セミナー

 

 

8.

生化学セミナー

 

 

9.

解剖学セミナー

 

 

 

いずれも臨床との関連において

 

 

 

以上の時間数合計は少なくとも         

96

II.

1.

臨床医学入門のための実習(患者診察をともなう)

 

 

 

時間数は少なくとも

24

 

2.

職業領域について学ぶ実習

 

 

 

時間数は少なくとも

12

III.

医学用語の実習

 

 

 時間数は少なくとも                    

12

 

添付資料2 (§212節)

医師試験・第1部の申請のさいに、証明書が必要な実習、クルズスおよびセミナー

19891221日改定

1.

病理学総論クルズス

2.

微生物学および免疫学の実習

3.

医学生のための生物統計学のための練習

4.

非手術系および手術系の領域における一般臨床検査のクルズス

5.

臨床化学および血液学の実習

6.

放射線防護を含む放射線学のクルズス

7.

一般および系統的薬理学と中毒学のクルズス

8.

急性の救急およびファーストエイドの実務的練習

 

以上の合計時間数は少なくとも                     300

 

添付資料 (§212

医師試験・第2部の申請のさいに、証明書が必要な実習とクルズス

19891221日改定

1.

病理学各論クルズス

2.

薬理学各論クルズス

3.

一般医学の実習またはクルズス

4.

内科の実習

5.

小児科の実習

6.

皮膚−性病科の実習

7.

泌尿器科の実習

8.

外科の実習

9.

産婦人科の実習

10.

救急医学の実習

11.

整形外科の実習

12.

眼科の実習

13.

耳鼻咽喉科の実習

14.

神経科の実習

15.

精神科の実習

16.

心身医学と精神療法の実習

17.

腫瘍学領域の実習

  (環境衛生、病院衛生、感染予防、予防接種および個人予防を含む)

 

以上の合計時間数は少なくとも                           516

 

§3 学部最終学年6学年に実施される実地教育praktische Ausbildung)(いわゆるインターン

(1)   医師試験・第2部に合格した後、つまり学部の最終学年で行う教育は実地教育である。これは4月後半または10月後半に始まる。教育は下記の3科目で16週間ずつ行われる。

1.        内科

2.        外科

3.        上記以外の臨床の1科を選択

(2)   この教育は大学病院、または大学が指定し、管轄の保健医療官庁も認める病院で実施される。

(3)   合計20日までの欠席が認められる。

(4)   教育中は病床が教育の中心となるが、学生はそれまでに習得した医学知識と能力を深め、広げなければならない。学生はそれらを個々の症例に応用しなければならない。この目的のために、学生はその教育程度に相当して、教育担当医師の指導、監督および責任のもとに、与えられた医学的仕事を実施しなければならない。学生は全ての週日を、フルタイムを原則として病室にいなければならない。教育には、薬物治療や臨床病理学的協議を含む臨床協議に学生が参加することも含まれる。規則通りの教育を確保するために、学生数と提供できるベッド数は適切な割合でなければならない。学生はその教育に役立たない業務をさせられてはならない。

(5)   規則正しく教育を受けたことは、医師試験・第3部の申請のさいに、添付資料5の書式の証明書として提出しなければならない。

 

§4 大学外の病院での実地教育に対する特別規定

(1)   大学外の病院での実地教育の場合には、教育の行われる部局に、医療と教育任務に対する十分な数の医師が確保されていなければならない。さらに、薬物治療や臨床病理学的協議を含む規則正しい臨床協議、ならびに病理医によるサービスが確保されていなければならない。内科と外科の領域での教育のためには、最低80床を持っている科だけが適している。これらの科のほかに、眼科、耳鼻咽喉科、神経科、及び放射線科、放射線診断学または放射線治療を担当する医師のコンサルテーションが確保されていなければならない。

(2)   実地教育の実施には、病院は教育に必要な以下の設備も備えていなければならない:

1.       能力のあるレントゲン部門、

2.       専門的な図書館、

3.       病理解剖主任、

4.       能力のある検査室、

5.       学生の居所と教育のための十分なスペース、

6.       内科の教育を行うときは、学生のこの目的のために用意されている臨床検査技師またはそれに適した人の指導の下に、教育目的のためのルーチン検査を実施することができる基本設備を有する教育検査室。

 

§5 ファースト・エイドの教育

(1)  ファースト・エイドの教育は医師前期試験の申請前に行う。理論および実技の授業により基礎知識と実技能力が教えられる。

(2)  ファースト・エイドの教育の証明書は以下のものが効力を有する:

1.        Arbeiter-Samariter-Bundes Deutschland e.V., ドイツ赤十字, Johanniter-Unfall-HilfeまたはMalteser-Hilfsdienstes e.V.

2.        以下の職業の教育を完了した証明書:看護婦、看護士、小児看護婦、補助看護婦、補助看護士、マッサージ師、医療入浴士、医療体操士の資格証明書、

3.        国防軍、警察まあは国境警備隊のような公的機関の者が所有するファースト・エイドの証明書、

4.        管轄の州官庁またはその委任を受けた役所によって教育資格を認可された機関の証明書。

(3)  ファースト・エイドの教育参加を医師前期試験の申請時に証明しなければならない。

 

§6 患者看護業務

(1)   2ヶ月間の患者看護業務は、医学の学習を始める前、または医師前期試験の前で授業のない期間に病院で行う。これは病院という組織に導き入れて、患者看護の通常業務を習熟させることを目的としている。

(2)   この看護業務には、連邦軍の医務や同様の施設での患者看護、自由意志による社会年促進法(注)での患者看護、兵役代替法の規定による看護業務、看護婦のような看護職の教育での経験も認められる。

(3)   医師前期試験を受験する場合に添付資料6よる証明書が必要となる。

【注:「自由意思による社会年促進法」は1963年に制定された法律で、ドイツ独特の制度である。17歳から27歳までの青年が1年間、看護・介護・福祉などの現場で働きながら学ぶ制度で、食と住と小額の小遣いが支給され、親に対しては税制上の優遇処置がとられる。1年間を限度とするが8000人ほどが参加し、その世話は公認の6つの社会福祉事業団が行っている。同様に、環境の現場で1年間を体験する「自由意思による環境促進年」という制度が1993年に発足している。】

 

§7 ファムラツールFamulatur

(1)  4ヶ月のファムラツールは、医師前期試験合格から医師試験第2部受験までの間に行う。公共の職場、労働、診療所および病院における医師の活動を習得させることが目的である。

(2)   ファムラツールは以下のようにして学ぶ。

1.        1ヶ月間を

a)       医師の指導の下に、
aa)
公衆の保健医療、青少年援護、社会援護、労働局、福祉局または営業監察、
bb)
障害者リハビリ施設、または健康保険審査医の業務を含む医学的鑑定、
cc)
刑務所、
dd)
産業医の施設、
ee)
連邦国防軍の部隊医務施設または

b)       医師の診療所、

2.        2ヶ月を病院、及び

3.        1ヶ月を上記12に該当する施設で。

(3)  本規則の適用地域外で医学研修生として医師診療所または病院で従事したことは認められる。本規則の適用地域外で医学研修生として他の施設で従事したことは、(2)bPa)に示したものと同等とみなされる施設で医師の指導のもとに行われたものであれば、認めることができる。

(4)  医師試験・第2部の受験のときに添付資料7の様式の証明書が必要である。

 

2章 試験の一般規定

§8 州試験局の設置

この規則で規定されている試験は、州法により定められた管轄部署(Landespruefungsamt州試験局)によって実施される。

 

§9 管轄の州試験局

本法による試験は州試験局によって実施されるが、受験生は受験申請時点において医学を学んでいるか、または医学を学び終えたものとする。以下は本法の規定以外の医学学習、たとえば外国人などに対する扱いであるので翻訳を省略する。

 

§10 受験申請

(1)  受験の許可は州試験局が決定する。

(2)  学生は、医師前期試験および医師試験の各部の申請を、各学習期間の最後の半年にしなければならないが、条件は§13)に示してある。

(3)  受験申請は州試験局の定めた書式の書類で、1月10日または610日までに試験局に提出しなければならない。

(4)  3)の申請には以下のものを添付する

1.        医師前期試験には

a)      出生証明書または親の戸籍抄本、既婚者は結婚証明書または結婚による戸籍簿の抄本、

b)      大学入学許可の証明書、本法適用地域外で習得した場合は管轄官庁が証明する証明書、

c)       聴講証明簿または学習を証明する大学の書類、

d)      本法で規定された授業計画に参加したという証明書

e)       ファースト・エイドの教育参加と患者看護業務を果した証明書;

2.        医師試験の各部では

a)       出生証明書または親の戸籍抄本、既婚者は結婚証明書または結婚による戸籍簿の抄本、

b)       聴講証明簿または学習を証明する大学の書類、

c)        本法で規定された授業計画に参加したという証明書

d)       すぐ前の試験の合格証明書

医師試験・第2部の申請に当っては、医師前期試験の合格証明書とファムラツールを行ったことの証明書を添付しなければならない。1c)d)または2b)c)が間に合わないときは、州試験局の定めた期限に提出する。

(5)  医師試験の第1部と第2部の許可のために提出する授業計画へ参加したことの証明書(§21)の2節に対応する添付資料23は、医師前期試験合格後に取得したものでなければならない。医師試験・第3部で規定されている病院実習(§3)に関する証明書は、医師試験・第2部の合格後に取得したものでなければならない。

(6)  受験申請者が§31)の教育が医師試験・第3部の申請時点に完了していないときは、試験期日までに完了する見込みであることを示す教育責任者の仮証明書を提出しなければならない。この規定の添付資料5の様式による証明書は入手後すみやかに、そして試験開始の1週間前までに提出しなければならない。

(7)  受験申請者に、連邦医師法§31No.2および3(注)の条件に欠けることにより医師免許が拒絶されるような根拠が存在する場合には、州試験局はさらに資料、とくに医師の証明書または品行証明書の提出を求めることができる。

 

【注】

No.2

医師の職業従事への尊厳または信頼を損うような行為を犯していないこと、

 

No.3

身体的欠陥により、または精神的または身体的な力が弱いことにより、または嗜癖によって医師の職業従事が不能であったり、または不適切であったりすることがないこと、

 

§11 申請の不受理

下記の場合は受理しない、

1.        受験申請者が§103)の期限までに申請を出さない場合、または書式が正しくないとき、あるいは規定の証明書が提出されないとき。しかし、信頼できる重大な取消理由がある場合、試験手続の状態が申請者の参加をなお認める場合、手続の遅れを試験期日の4週間前までに取り戻したときはこの限りではない、

2.        受験申請者が§1043節の場合に、欠如している証明書を州試験局が決めた期限内に届けられないとき、

3.        試験を再度受けられないとき、

4.        連邦医師法§31.2および3の条件に欠けるために医師免許が拒絶されるような根拠が存在するとき。

 

§12 学習期間の審査と試験

本条は外国人などに対する規定であるので翻訳を省略する。

 

§13 試験の評価方法

(1)  医師前期試験は筆答と口答、医師試験第1部は筆答のみ、医師試験第2部は筆答と口答、医師試験第3部は口答のみの試験が実施される。

(2)  全ての筆答及び口答の試験において、能力の評価に対して以下の評点がつけられる:

 

評価

評点

 

sehr gut

(1)

極めて優れた能力

gut

(2)

能力は平均的条件を上回っている

befriedigend

(3)

能力は全般的に条件をみたしている

ausreichend

(4)

能力に不足はあるが条件に達している

不可

mangelhaft

(5)

能力がかなり不足し条件を満たしていない

不可の下

ungenuegend

(6)

役にたたない能力

 

(3)  医師前期試験と医師試験第2部では、筆答と口答の2種類の試験が行われる。2種類とも可であれば医師試験は合格となる。しかし、いずれの医師試験においても、筆答か口答のどちらかの試験に不可(5)があっても他の試験が優(2)以上であれば合格となる。

(4)  医師前期試験を除く医師試験第1部、同第2部、同第3部の評点から、§34の方法によって総合評点が得られる。しかし、外国で同等の資格を得た者(§12)に対しては総合評点を作成しない。

 

§14 筆答試験

(1)  筆答試験では、受験生は出された問題に対して該当すると考える答を示す【マルチプルチョイス式試験方法であるが、日本とほぼ同じ時期に採用した】。

(2)  問題は医師に一般的に必要とされる知識に基づくもので、信頼できる試験結果が得られるものでなければならない。本試験規則とは別に、領域別に試験範囲を示すカタログがある【出題範囲リスト】。

(3)  筆答試験は全国一斉に実施される。全ての受験生に同じ問題が出される。州試験局は州の間の協定により、問題を作成する施設を世話しなければならない。州試験局は筆答試験の対象を公表することができる。【この項目は抄訳】

(4)  州試験局は、試験結果を確定する前に、試験問題が適切であったか、不適切であったかを吟味しなければならない。試験問題が誤っていることが明らかになれば、出題から削除する。それにより、規定された出題数は減少することになるが、その減少した出題数によって評価を行う。出題数の減少が受験者の不利にならないようにしなければならない。【ここに述べたような方法で不適切な問題を削除することは、マルチプルチョイス試験における基本操作である】

(5)  州試験局は、試験監督を著しく妨害したり、カンニングを試みた受験生に対しては、不可の下(最低)の評点を与えることができる。

(6)  合格の判定:出題数の60%以上が正解であれば合格。または、最短年限で受験した受験生(医師前期試験では在学期間2年、医師試験第1部では3年、医師試験第2部では5年の時点で受験した学生)の正解数の平均から22%以内であれば合格となる。

(7)  筆答試験の評価は

合格の場合の評価

上記の合格最低正解% + 残りの問題の75%を正解している場合

同上       +   同上の 50%以上75%未満を正解している場合

同上       +   同上の 25%以上50%未満を正解している場合

同上       +   同上の 0%以上25%未満を正解している場合

不合格の場合の評価

不可

上記の合格最低正解%の90%以上を正解している場合

不可の下

上記の合格最低正解%の90%に及ばない場合

 

(8)  受験者への通知:受験者には、1.評価、2.問題数と本人が正解した数、3.領域ごとに、出題された問題数と本人が正解した数、4.全受験者の平均の成績、5.最短年限(上記)で受験した受験生の平均の成績、が通知される。

 

§15 口答試験

(1)  口答試験は医師前期試験、医師試験第2部、医師試験第3部で実施される。試験委員会は各州政府の試験局から任命される。医師前期試験と医師試験第2部の試験委員会は、それぞれ1名の委員長と1名ないし2名の委員によって構成される。医師試験第3部の委員会は、それぞれ1名の委員長と3名ないし4名の委員および1名の書記で構成される。委員長および委員に対しては代理人を指名する(委員が出席できないときに代理する)。委員長、委員、書記には教授または試験の対象となっている科の教員が任命される。医師試験第3部では、これらの委員以外に、大学の教官でない医師、とくに開業医を委員として任命することができる。

(2)  委員長は、自分も試験官であるが、受験生への質問が適切であるかを注意し、規則が守られることへの義務がある。

(3)  委員会は試験の間はその場にいなければならない。しかし、3名以上の委員で構成されている場合には、受験生が患者に専心しなければならないとき、患者の希望により、また委員全員がいることを患者が拒んだとき、あるいは患者の利益という根拠があるときは、委員長は一時的に委員長と委員1名だけで試験を行うことを認めることができる。このような場合には、同時に受験している他の受験生も席を外すことになる。

(4)  一回に扱う受験生は4名を超えてはならない。

(5)  管轄官庁は口答試験に監視官を派遣することができる。委員長はこの試験を受験している5名までの医学生、州の大学教員の委員1名、および管轄医師会の代理人1名が試験に同席することを許可しなければならない。その場合、委員長は5名の受験生に対して平等の配慮をしなければならない。しかし、(3)の第2節及び成績を告げるときには本項の前節に示した者は席を外さなければならない。委員長は、試験に協力している患者の利益を守るために必要と思うときは、これらの人たちを一時的に外すことができる。

(6)  規則違反やカンニングの結果については州試験局が決定を下す。§145)が準用される。

(7)  能力は§132)によって評価される。口答試験は「可」の評価までが合格となる。

(8)  各受験生の試験経過は、試験の対象、試験成績、不正などが分るようにして、委員全員が署名した添付資料7a7bまたは添付資料8の様式の記録書に作成しなければならない。

(9)  委員会は多数決で決定する。意見が同数で分かれたときは、委員長の意見が優先する。これは(1)の第3節のような委員長と委員が合わせて2名のときにも準用される。委員長は受験生に結果を口頭で伝える。評価が「不可」または「不可の下」のときは、理由を示し、文書にこれを記入する。州の試験局は受験生に結果を書面で伝える。

(10)  州試験局は、本規定によって口答試験の実施で義務づけられている任務を、大学の1名または数名の依頼者に委任することができる。州試験局から依頼された者とその代理人となる者は、大学の教授でなければならない。

 

§16 試験期間

(1)  筆答試験は3月と8月に実施される。口答試験は講義のない期間に実施されるが、必要な場合は講義のなくなる期間の1週間前に実施してもよい。医師試験第3部は4月から6月及び10月から12月の間に実施される。

(2)  筆答試験の再試験は上記の試験期間に実施される。口答試験の再試験は(1)の試験期間外に行うことができる。

(3)  医師前期試験と医師試験第2部においては、筆答と口答の試験のうち、どちらか先に「不可の下」を取ると、他の試験は受験できなくなる。

 

§17 試験の案内

試験期日は、筆答試験では遅くとも7日前、口答試験では遅くとも5日前に受験生に通知される。

 

§18 試験の辞退

(1)  受験生が試験を辞退するときは、その理由を遅滞無く州試験局に伝えなければならない。州試験局が辞退を認めたときは、試験はなかったものとされる。重大な取消理由があれば承認される。病気のときは、州試験局は医師の証明の提示を求めることができる。

(2)  辞退の承認が得られないとき、または受験生が遅滞無く理由を伝えなかったときは、その試験は無かったものとみなされる。

 

§19 不履行の結果

(1)  受験生が試験を欠席、筆答試験を提出しない、定められた時間に提出しない、または試験を中断した場合には、「不可の下」の評点がつけられる。受験生の行動に重大な取消理由があるときは、その試験はなかったものとみなされる。

(2)  重大な取消理由があるかどうかの決定は州試験局が行う。§184節が準用される。

 

§20 再試験

(1)  医師前期試験、医師試験第1部、第2部、第3部は、いずれも2回だけ再試験が受けられる。もう一度医学をまなんでから受験することは許されない【医師の試験は一生に一度しか受験の機会がないことになる】。筆答と口答の2部門からなる試験では、その片方だけ再試験を受けることはできない。合格した試験、あるいは筆頭と口答の一方だけを再受験することは許されない【成績を良くしようとして再受験することは許されない】。

(2)  再試験は次回の期間に受験しなければならない【それ以上の期間をおくことはできない】。医師試験第3部の再試験が行われるときは、申請のときに§212)による補習教育の証明書を添付しなければならない。

 

§21 試験の証明書および通知

(1)  試験に合格した受験生は、州試験局から規定による証明書を受け取る。

(2)  医師試験第3部に不合格となった場合には、その受験生が§3による教育を改めて受けなければならないかどうか、またその期間について、州試験局は速やかに決定をする。教育の期間は最低4ヶ月、最高6ヶ月である。

(3)  最終的に試験が不合格で、再試験も不可能と決定したら、州試験局は受験生と他の州の試験局にこのことを書面で通知する。この受験生への通知には、改めて医学を学んでも受験することができないことも伝えられる。州試験局は医師試験の合格結果を州の管轄官庁に報告する。

 

3章 医師前期試験

§22 試験内容

(1)  医師前期試験の筆答部門は以下の領域からなる:

I.              医師のための物理学と生理学、

II.           医師のための化学と生化学、

III.        医師のための生物学と解剖学、

IV.         医学心理学と医学社会学の基礎。

(2)  医師前期試験の口答部門では、受験生は以下に示した試験科目のうちから2科目について試験される:

生理学

生化学

解剖学

医学心理学と医学社会学の基礎

(3)  (2)による試験科目の組合せは、大学が提供できるその科目の試験官の数が考慮される。試験における科目の組合せの分配は、州試験局によって匿名の方法で作成される。受験生が試験される科目の組合せは、口答試験の通知と一緒に書面で伝えられるが、試験期日の14日前よりは早くはならない。

 

§23 筆答試験

(1)  試験は連続の2日で行われる。試験は両日とも4時間。初日は領域III、2日目はIIIIVから出題される。

(2)  筆答試験で回答する問題の数と各領域は添付資料9に掲載されている。問題は添付資料10に示されている試験内容に合わせなければならない。

 

添付資料9

医師前期試験の問題数と配分

I. 

医師のための物理学と生理学

80

II.

医師のための化学と生化学           

80

III.

医師のための生物学と解剖学

  100

IV.

医学心理学と医学社会学の基礎

60

 

添付資料10

医師前期試験の試験内容

(1989年1221日変更)

 

I.

医師のための物理学と生理学

計測と量的記載の基礎概念:計測誤差。力学、振動学、音響学、熱学、電気学、光学と電離放射線物理学の基礎知識。測定と制御テクニック、医用テクニック。

細胞と組織の生理学。臓器機能の生理学(血液、呼吸、循環、消化、エネルギーと温度の調整、腎機能、水と電解質の調整、内分泌、生殖、筋肉、神経系、感覚器)。

調節の生理学。労働および栄養生理学を含む応用生理学。運動能力と能力向上の生理学。Pathophysiologyの入門。臓器機能の検査のための生理学的方法。

 

II.

医師のための化学と生化学

生化学的に重要なelementとその化合物chemical binding, chemical reationsthermodynamics and kinetics, redox過程; electrolytessolutionOrganic moleculesfunctional groupsstructure and reactions

新陳代謝のphysical and chemicalな基礎。酵素の作用とkineticsおよびホルモン作用。生化学的に重要な物質の特性、作用および代謝、代謝過程の法則。分子遺伝学の基礎。免疫化学の基礎。細胞と臓器の生理学の生化学的視点。栄養学の基礎。病態生化学の入門。

III.

医師のための生物学と解剖学

細胞学総論。遺伝学。微生物学の基礎。単細胞および多細胞生物の形態学と生理学。進化論。エコロジーの基礎。運動器、内臓、循環器、中枢および末梢の神経系および感覚器のマクロおよびミクロの解剖学。細胞の形態学。免疫系の解剖学。超微構造も含む組織学と組織化学の基礎。ヒトの発生学と臓器発達の基礎。局所解剖学の基礎。

IV.

医学心理学と医学社会学の基礎

動物行動学、psychophysiology, 知覚、学習、エモーション、モチベーション。心理学的方法、人格、人格発達の基礎。疾患の発現と処理の心理学的基礎。言語および非言語によるコミュニケーション。医師患者関係の基礎。

社会保障。人口構成。異なった年齢特性のグループの構成における役割関係と争い。

 

§23a 口答試験

(1)  口答試験は受験生4名の場合は最低2時間、最高3時間で実施される。

(2)  試験では実際的課題と科にまたがる問題が出題されるが、受験生はプレメディカルの教材に習熟していることを証明しなければならないが、とくに

− 試験の対象であるかの基本的事項を身につけ、

− その医学的、とくに臨床的な関連を理解できること、

− 勉学を続けるのに必要な知識と能力

を持っていなければならない。

(3)  試験委員会は試験期日の前日に宿題を出し、当日口頭または答案を呈示して説明させることができる。

 

§23b 試験成績の評価

州試験局は、筆答試験の評価点を2倍、口答試験の評価点を1倍する。その合計を3で割る。医師前期試験の評点は小数点以下2桁まで計算する。その結果は

1.5まで

1.5以上2.5まで

2.5以上3.5まで

3.5以上4.0まで

 

§24 証明書

合格者には添付資料11による証明書を交付する。

 

4章 医師試験
I
 医師試験・第1 

§25 試験内容

医師試験・第1部の領域は以下の通りである:

I.              病理学と神経病理学、人類遺伝学、医学微生物学、免疫学と免疫病理学、医史学、の基礎

II.           患者との対話、臨床検査の基礎、救急症例の初期処置、放射線学、

III.        薬理学と中毒学、病態生理学と病態生化学、臨床化学、生物統計学、の基礎。

 

§26 筆答試験

(1)  試験は連続の2日で行われる。初日は4時間半、2日目は2時間45分。初日は領域 III2日目は領域IIIから出題される。

(2)  筆答試験で回答する問題の数と各領域は添付資料12に掲載されている。問題は添付資料13に示されている試験内容に合わせなければならない。

 

添付資料12

医師試験・第1部の試験問題数と配分

19891221日改定)

I      

病理学と神経病理学、人類遺伝学、医学微生物学、免疫学と免疫病理学、医史学、の基礎

110

II       

患者との対応、臨床検査の基礎、救急症例の初期処置、放射線学、

70

III      

薬理学と中毒学、病態生理学と病態生化学、臨床化学、生物統計学、の基礎

110

 

添付資料 13

医師試験・第1部の試験内容

199482日変更)

I

理学と神経病理学、人類遺伝学、医学微生物学、免疫学と免疫病理学、医史学の基礎。

 

重要な疾病の病因論と病理解剖学的基礎、ならびに臓器および臓器系の組織学的変化。

 

臓器発生、臓器構造、および新陳代謝の障害を引き起こす病因における遺伝の要素。

 

医学的細菌学、ウイルス学および寄生虫病学、疫学、伝染性疾患の予防と対応の基礎、応用範囲および検査方法。

 

免疫学と免疫病理学の基礎。

 

医学的思考、知識および行動の歴史における文化的および社会的基礎。健康と疾病の概念の変遷。医療行為の倫理的視点。

II

患者との対応、臨床診断の基礎、救急患者に対する最初の処置、放射線学。

 

アナムネーゼ(ヒストリー)を取る、医師としての会話の指導、直接に患者を診察する方法(視診、触診、打診、聴診、反射の検査)、簡単な鏡診、典型的な所見、患者の観察。

 

生命に危険な急性の症候、救命のための緊急処置法。

 

放射線の生物学的作用と放射線治療の基本。画像の診断への応用と特異な所見。放射線保護の法的および組織としての対応の基本。

III

薬理学と中毒学、病態生理学と病態生化学、臨床化学、生物統計学の基礎。

 

Strukturmerkmale形態学的特長? pharmacodynamics期待される効果と期待しない効果、ならびに相互作用、重要な医薬品のpharmacokinetic。中毒学の基礎。医薬品試験の方法。医薬品および医用製品の処方(規定?この語には両方の意味がある)。

 

細胞、臓器ならびに調節機構のpathophysiologypathobiochemistry。体液と排出の検査方法、ならびに所見の評価。

 

Medical biometryの基礎。Medical bibliography

 

§27 証明書

合格者には添付資料14による証明書を交付する。

 

II 医師試験・第2 

 

§28 試験内容

(1)  筆答試験は以下の領域からなる

I.              非手術領域、

II.           手術領域、

III.        神経科領域、

IV.         一般医学と環境領域。

(2)  口答試験では、受験生は下記の1と2に示された科目の中から、それぞれ1科目について試験される。

1.

内科
外科
小児科
産婦人科
病理学
薬理学
微生物学
衛生学
保健医療と社会医学

2.

一般医学
麻酔学、救急および集中医療
労働医学
眼科
皮膚−性病科
耳鼻咽喉科
臨床化学
神経科
整形外科
精神科
心身医学と精神療法
放射線学
法医学
泌尿器科

 

(3)  科目の組合せと受験生への通知は、医師前期試験の口答試験の場合と同じである。

 

§29 筆答試験

(1)  試験は連続の4日間で実施されるが、2日目と3日目の間には1日または2日の休が入る。第1日目と第3日目は4時間45分ずつ、第2日目と第4日目は2時間半ずつ行われる。第1日目にはT、第2日目にはV、第3日目にはU、第4日目にはWの領域について出題される。

(2)  筆頭試験で回答する問題の数と各領域は添付資料15に掲載されている。問題は添付資料16に示されている試験内容に合わせなければならない。

 

添付資料15

医師試験・第1部の試験問題数と配分

 

I.

非手術領域

190

II.

手術領域

190

III.

神経科領域

100

IV.

一般医学と環境領域      

100

 

添付資料16

医師試験・第1部の試験内容 

(1995821日変更)

 

基本的試験対象【不適切な訳語もあると思います】

病因論。病理学各論と神経病理学、多罹患率、症候学、疫学、診断、鑑別診断。臨床化学的、血清学的、微生物学的、免疫学的、バイオプシー、エレクトロメディカルおよび核医学的検査所見の評価。適応と禁忌。保存的、手術的および物理療法的療法、放射線療法処置の適応。特殊治療方法。慢性疼痛の治療。医師の援助と長期患者、慢性患者、不治患者、死にゆく人に対する世話。長期治療を含む薬理学各論と臨床薬理学。診断と治療における年齢特有の視点。自然療法とホメオパチーの基礎、可能性および限界。予後。健康相談を含む予防。リハビリ。鑑定。スポーツ医学的視点。アレルギー。

 

I.

非手術領域

 

下記疾患:血液、造血臓器、心臓と血管、呼吸器、消化器、内分泌と代謝を伴う腺、腎臓、水分とミネラル調節。


臨床の視点:炎症、免疫、感染症の臨床、腫瘍疾患、リウマチ(?)、心身症と機能障害。老人病の内科学的視点。

 

急性に生命を脅かす状態と蘇生の識別と治療。患者と傷害者の集団発生の際の医師の世話。

小児の正常な身体および精神の発達と変異。代謝の病態生理と小児の栄養。周産期および乳児期の生理と病理。感染症と栄養失調を含む小児期の臓器および系統的疾患。事故と中毒。臨床遺伝学。小児および青少年の行動障害。社会小児科学。

皮膚、その付属形成物および粘膜の疾患とこれらの物理的、化学的障害。性病。男性生殖障害。

II.

手術領域

 

創傷治癒と創傷処置:感染。滅菌;防腐。化学療法。手術手技の原則:手術的侵襲の病態生理。前および後処置の原則。災害学:ショック。局所および機能解剖学。奇形。頭部、頚部、胸部、腹部、四肢、心臓、血管および中枢と末梢の神経系の疾患と損傷。外科的救急。負傷者の集団発生における医師の世話。

麻酔学と集中医学の基礎。

支持および運動器官の動力学とメカニズム、それらの先天性および後天性の形態変化(機能障害、疾病、外傷およびそれらの結果による状態)。

腎臓、尿路、外性器、内性器の機能障害、先天性形成異状、疾患および損傷。泌尿器科敵救急。

女性生殖器の生理と病態生理。女性の性に関連した発達とその障害。家族計画。妊娠。妊娠の助言と予防。危険な妊娠。妊娠中絶。分娩と危険な分娩。産科的救急。産褥期合併症。婦人科的救急。受胎障害。

眼と付属器の機能障害、疾患、損傷。他の疾患と関連する眼科的外傷。眼科の救急。

顔面頭蓋、それにつながる頭蓋底、耳および頚部の機能障害、疾患、外傷。耳鼻咽喉科領域の救急。音声学の基礎。

歯の疾患と損傷、それらの全身の及ぼす影響。

III.

神経学領域

 

中枢神経、末梢神経および筋肉の機能障害と疾患。神経損傷学と集中治療の神経学的視点。神経病態生理学の臨床的視点。精神病理学。脳臓器性、内因性、精神病性および人格的な反応性障害。ノイローゼ。嗜癖。自殺傾向。性的行動および体験障害。他の疾患の場合における神経学的および精神病的障害。救急。精神身体医学および老人医学の視点。神経学的、精神病学的およぼ心理学的検査方法とそれらの表出価値(?)。

社会精神病学、小児および青少年精神病学。

精神療法の基礎と適応。強制的な収容【措置入院と保安処分的なものを指すと思われる】の方法。

VI.

一般医学と環境に関する領域

 

一般医学の任務と特性。

一般−、病院−、環境−、流行病−および公衆の衛生の基礎。予防接種と個人予防。

公衆衛生の組織、任務および作業原則;基本的な法規定。

社会医学の基礎、疫学;疾病発生とその予防の社会−環境的問題。社会の保護と住民の健康サービスの基本問題。

コンフリクト、とくに妊娠中絶の医学的、法的および倫理的視点での助言と判断。

労働医学の基本事項。労働の健康保護に関する重要な規定。職業に起因する障害の予防と早期発見のための労働医学的検査。職場と職業による負荷の分析。職業病と職業病の手続き。社会、家庭、学校および労働への医学的、教育学的、社会的および職業的な順応と再順応のさいにおけるリハビリ障害者への医師の視点。

法医学、とくに司法医学と医学的鑑定技法の重要な概念。医師の職業従事に関する重要な法律問題。

公的医療保険の制度と保健医療における経済性と費用に関連したこと。

医学統計学と情報の重要な手段。

 

§29a 口答試験

(1)  口答試験は4名の受験生の場合、最低3時間、最高4時間かけて実施される。

(2)  受験生には(可能であれば)実地問題が課される。受験生は知識、技能、能力を、できるならば症例によって示さなければならない。問題は一般医学的観点からみて、受験生が医学的な相互関連を識別できること、また設問に対して諸科にまたがる判断ができること、を知ることができるように設定されなければならない。試験では受験生について特に以下のことを確認する、

a)      実地に応用するのに必要な知識と能力を持ち合わせている、

b)      医師としての経験を積むことができる、

c)       医師としての行動の仕方を発展させる自覚を持っている。

(3)  試験委員会は、受験生に試験期日の前に1名の患者についてヒストリー作成と検査を行わせ、試験のときにこれについて口頭または書類の提出によって報告させることができる。

 

§29b 試験成績の評価

医師試験第2部合格の評点の算出には§23bを準用する。

 

§30 証明書

合格者には添付資料17による証明書を交付する。

 

III 医師試験・第3 

§31と§32は廃止。

 

§33 口答試験

(1)  口答試験は4名の受験生の場合、最低4時間、最高5時間をかけて実施される。

(2)  受験生には臨床実地領域から実地的な問題が出される。その場合、一般医学的および諸科にまたがる設問が含まれなければならない。試験は内科、外科、およびその受験生が最終学年の病院実習で実地を経験した科を含まなければならない。

1.      それ以外の臨床の科、とくに小児科、産婦人科、神経科、病理学、薬理学、中毒学、臨床薬理学、老人医学からの質問も含まれる。

2.      医学的社会学の観点、とくに社会、家庭、職業の健康に与える影響も考慮される。

3.      医学の歴史的、精神的、倫理的な基本の質問にも及ぶ。

(3)  試験では、受験生は、勉学によって習得した知識を実地に応用することを知っており、医師に必要な基礎知識や技能と能力を身に付けたことを、症例に関連付けて示さなければならない。とくに以下のことを証明しなければならない:

1.      ヒストリー作成、簡単な臨床的検査方法および簡単な検査室検査の技術を身に付け、それらの結果を判断できる、

2.      診断を下すのに必要な情報を取得し、それらのもつ意味合いや診断における重みを識別し、鑑別診断的思考ができる状態になっている、

3.      病理学において十分な知識を使い、とくに病因との関連を識別できる状態にある、

4.      保存的治療と手術的治療の適応、ならびに重要な治療原則をマスターしている、

5.      十分な薬理学的知識を有し、薬物治療、とくに医学的に重要な医薬品、その適応と禁忌をマスターし、処方の規則ならびに医師にとって重要な医薬品に関する法律規定を知っている、

6.      予防とリハビリの基礎と基礎知識をマスターしている、

7.      患者に対する医師の態度の一般規定を知り、状況に対応して行動することを知り、慢性や不治の患者および死にゆく人の援助と世話ができる。

(4)  試験委員会は受験生に、試験期日の前に1名または数名の患者についてヒストリー作成と検査を行わせる。受験生はそれについてヒストリー、診断、予後、治療ならびに結論を含んだ報告を作成する。報告は作成後遅滞なく1名の委員に署名してもらって、試験期日に提出する。

 

§34 医師試験の総合点と証明書

(1)  州試験局は医師試験合格に対して以下のような総合点を算出する:

医師試験・第1部の成績を1倍、同2部の成績を3倍、同3部の成績を2倍する。これを合計して6で割る。総合点は次のとおりとなる

1.5まで

1.5以上2.5まで

2.5以上3.5まで

3.5以上4.0まで

 

(2)  医師試験の合格は添付資料20の様式で交付される。

 

第5章 実地研修医師(AiP

 

§34a 実地研修の実施

(1)  実地研修医師(Arzt im Praktikum, AiP)としての18ヵ月の研修は、医師試験に合格した後に行われる。それには連邦医師法が定める一時的な職業従事のための許可(Erlaubnis、仮免許)が必要である。

(2)  AiP としての従事はフルタイムで行う。もし、それをパートタイムで行うときにはそれに相応して延長はされるが、その総合期間は3年を超えてはならない。

これを行う場所は

− 病院、

− 開業医の診療所、または外来の医師業務を行うその他の施設、

− 保健センター、または軍隊または警察の保健業務の類似施設、

− 専任の施設医師を有する刑務所

である。実地研修はなるべく最低9ヵ月の非手術系及び最低6ヵ月の手術系領域における従事を含むものとする。

(3)  下記の場所での従事も算入される、

− 公衆衛生、

− 疾病金庫の健康保険審査機関、

− 援護、工場または企業の医師の業務、

− リハビリ障害者に対する施設、

− 部隊付き軍医の施設。

(4)  この規則の適用範囲外で従事した場合には、それが同等とみなされれば算入される。

(5)  以下の場合の中断は、AiP としての従事期間に算入される、

 1. 最初の1年間の休暇は6週間まで、残りの期間の休暇は3週間まで、

 2. 病気のようにAiP 自身が避けられない理由の場合は合計3週間まで。

女性の AiP が妊娠した場合には、合計3週間までの中断は算入される。

 

§34b 研修における従事の仕方 

AiP は、医師免許または連邦医師法により医師の職業に一時的に従事する許可を有する医師【例えば外国の医師】の監督の下で、医師として従事する。AiP はその知識と実務的能力を深めなければならない。AiP には、医師としての経験を重ねる機会を十分に与えなければならない。AiP に割り当てられる医師としての従事が、当人の知識と能力の発展段階に相当したレベルであって、責任をもって果たされなければならない。AiP としての従事が終えたときには、医師の職業を自己責任をもって、自立的に実施する状態となっていなければならない;監督の方法と範囲はそれに相応するものでなければならない。

 

§34c 教育プログラム

(1)  AiP は、従事している間に、医学の倫理問題の知識と取扱いを深めるのに役立つような、2ないし3時間の教育プログラムに最低6回参加しなければならない。これらの教育プログラムは、頻繁に出現する疾患例の解説とその処置、一般医学的問題の設定、医学倫理と医師−患者関係の問題、保健医療における経済性と費用の関連の問題、にとくに向けられたものでなければならない。

(2)  教育プログラムは監督官庁、またはそれから委任された立場のものによって実施される。これとは別に、一般の医師の生涯教育プログラムに上記のテーマを扱ったものがあれば、それへの参加でも認められる。

 

§34d 研修修了の証明書

(1)  AiP には、従事していたそれぞれの職場から、この規則に添付資料20aの書式による証明書が交付される。証明書には従事した事項を詳しく記載し、教育が規定通り修了したかどうかが述べられていなければならない。さらに、AiP が身体的欠陥のため、または精神的または身体的な力の減弱のため、または嗜癖のために医師の職業に従事することが不能または不適格であるという根拠が明らかになったかどうかについて述べなければならない。証明書は、AiP が従事している病院またはその他の施設の医師である指導者、もしそのような人がいなければ AiP の上司によって交付されなければならない。証明書は極秘に取り扱われ、示されている目的だけに使用される。

(2)  証明書が規定通りの研修修了を証明していないときは、当該官庁は従事項目を全部または部分的に再履修させるかどうかを決定する。

 

§34e 連邦医師法§10(5)による許可(いわゆる仮免許)に基づく従事

連邦医師法§105)による許可(いわゆる仮免許)に基づく従事は§§34aから34dに準用される。

 

第6章 免許

§35 免許の申請

(1)  医師免許の申請は、申請者が医師試験第3部に合格した州の管轄官庁に提出する。申請書に添付するものは:

1.      略歴、

2.      出生証明書と結婚証明書、

3.      申請者の国籍証明、

4.      1ヶ月以内に発行された品行証明書(警察が発行する)、

5.      申請者に対する刑事手続または検察の捜査手続に関与しているかどうかの説明、

6.      申請者が身体的欠陥、または精神的または身体的な力に弱いこと、または嗜癖により医師の職業を行うことが不可能または不適切であるという根拠が存在しないことを示す医師の1ヶ月以内の証明書

7.      医師試験の証明書

8.      AiPとして規定どおりに業務を行ったことの証明書と教育プログラムに参加した証明書。

(2)、(3)、(4)、(5)は外国人関連のものであるので翻訳を省略する。

 

§36 免許証

添付資料21の様式による免許証が交付される。

 

第7章 試行カリキュラム

 

カリキュラムの試行を行う場合の規定(§36a)、翻訳を省略した。

 

章 移行規定

移行規定(§§37383940)は翻訳を省略した。