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D126

死亡診断

NRW(ノルトライン−ヴェストファーレン州)

1997改定

2004改定改定訂正赤色 2007.1.

Todesbescheinigung NRW

 

 

関連資料として異状死体に関するファイルM410があります。

目次

訳者解説

死亡診断書の書式 秘密扱いでない部

死亡診断書の書式 秘密扱いの部

記入要領の説明

 

 

訳者解説:ドイツNRW州の死亡診断翻訳に当たって

ドイツは他の国と同様死亡診断死体検案書区別がない。したがって、わが国の「検案」の定義に該当するものが不明確なので、誤解を生じないように「検案」という用語は使わず、「死体検査」という表現を用いたが、ここでは「死体の外表検査」を意味する。

訳者はドイツの2州(ここで紹介するNRW州とバイエルン州)と米国のニューヨーク州の死亡診断しか見ていないが、いずれも死亡の事実のみを記載した「丸秘でない部分」と、死因解剖所見などを記載した「丸秘扱いの部分」とに分かれている。ドイツでは、州によって死体検査規則が異なっているが、死亡診断の丸秘扱いに関する規定共通である。後者は統計担当者のような役所の特定の人だけが見られるようになっている。その他の国や地域ではどうなっているか、私は残念ながら知らない。

ここに紹介するNRW州の死亡診断は、従来はA4版2頁の用紙で構成されていたが、数年前に複写式の様式変更された。しかし、全体の記入項目には大きな変化はない。

翻訳した「死亡診断記入要領」は、死亡診断提出用の封筒の裏側に細かく印刷されているが、あちらの制度を理解する上で大変重要なことが述べられているので、読みやすくするために下線や網かけを施した。

 

医師死亡診断を書く場合には、主治医というようなそれまでの医師患者関係は打ち切られ、一人の人間人格喪失を国に代わって証明する公的な立場になる。

ドイツの場合、ここに見られるように、自然以外の死亡の場合には警察に届け出ることになっている(死亡診断記入要領11)。死亡診断の記入項目20のエピクリーゼには、災害中毒暴力自殺と並んで「医学処置合併症complication」があり、後者は自然ではない扱いをしている。日本の刑法はドイツの法律を根拠にしているので、自然の場合の死亡死因)の種類災害、自他殺など)を判断するのは検察(警察)または役所の医師ということになっている。

ドイツで「医学処置合併症」がどのように扱われ、処理されているかについては興味のあるところであるが、訳者は残念ながら知識を持ち合わせていない。しかし、英米法の下での監察医制度対比する場合に、ドイツ法、あるいは大陸法での扱いについて勉強する必要があるように思われる。

2004年には、項目30に示すように、犯罪の見落としを防ぐために背部頭皮部および全身開口検査したことを記入する項目が設けられた。

 

2003125日、20031019日、2007118修正

東京医科歯科学名誉教授

訳者 岡嶋道夫

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分りやすくするため表現を少し修正しました(20031019日)

用紙

1997年改正)

ノルトライン−ヴェストファーレン州 死亡診断

− 秘密扱いでない部分

Todesbescheinigung NRW – Nichtvertraulicher Teil      

死亡診断遅滞なく提出すること

該当箇所をチェックするか記入して下さい!

 

        以下は用紙1から5まで複写式で共通        

 

戸籍役場を経由して下級衛生

衛生局で記入

 

衛生

死亡記録された、死亡台帳番号

 

受付受付リスト番号

土葬   □火葬

 

1.本人事項

1         氏名(出生時の姓も)

2         通り

3         番地

4         居住

5         出生

6         出生

7         性別  □男  □女

8         個人識別  □私が知っていた  □身分証明、パスポート  
家族第三者の供述  □不能(1−6まで無記入)

2.死亡死亡日時の確認

9  □自ら確認  □家族第三者の供述による   日/月/年  時: 分

10 死亡日時不明の場合:死体所見から      日/月/年  時: 分

 

        用紙1から5までの複写式の共通部分は終り         

 

          以下は用紙1だけに記入する部分            

追加記入 死産または分娩時に死亡した胎児最低500g

出産時刻が死亡時刻とみなされる):

11 □死亡場所  12 □死亡場所でなければ発見場所  

13 □死亡した胎児として生まれた  □分娩時に死亡

 

施設名(病院/ホーム その他)

通り、番地

場所                   または施設のスタンプ(手元にあれば)

14  3.死亡種類

死をもたらした外的な作用の手がかりはあるか?

(例えば、自殺災害殺害犯罪行為、外的な作用場合によっては一緒に引き起こされた死亡ケース、損傷後の後発死亡例)

No  Noの場合は死亡種類  □自然 または

自然自然区別は不明

Yes (Yesまたは不明の場合は、秘密扱いの部分、用紙2以下の項目20epicrisis)に詳しく述べる(可能であれば))

15  4.警告指示

伝染予防6条または7条(HIVも含む)による伝染疾患に罹患している徴候があるか?     □No  □Yes

16       保管、納棺、輸送及び埋葬の場合に特別な対処を考慮すべきか?
No  □Yes、どのような?__________

17       □その他(例えば毒物化学物質による危険):___________

            用紙1だけの記入部分は終り         

 

        用紙1から5までの複写はここから再開        

  

18 私の 日/月/年  時:分 の慎重な検査に基づいて証明する。

 

  住所日付
  署名            スタンプと電話番号(スタンプに電話番号がないとき)

 

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用紙2、3,4,5

ノルトライン−ヴェストファーレン州 死亡診断

− 秘密扱いの部分

Todesbescheinigung NRW – Vertraulicher

該当箇所をチェックするか記入して下さい!

        用紙1から5までの複写式の共通部分が入る        

 

       用紙2から5では以下の部分複写式で記入する       

死の確徴

11 □死斑  □死後硬直  □腐敗  □脳死  □生前とは考えられない損傷

12 蘇生が実施された  □No  □Yes

誰が死因確認したか?

13 □診療していた医師  □診療していない医師診療していた医師から聞いて

  □診療していない医師診療していた医師から聞かないで

14 家庭病院(部局)で最後に診療していた医師
  病院医師名称など

  通り、番地
  地区名             またはスタンプ(存在すれば)

死因呼吸停止、心−循環不全というような末期状態でなく)

                                発病から死まで

概略期間         

15 I a) 直接死因:          ___________/________

16     b)  これは右の結果である: b1)*) ___________/________   

17                                 b2)*) __________/________

18     c)  これの原因となった基礎疾患*) __________/________

19 II 基礎疾患とは関係ないが死に関与した疾患*)_______/________

*) 可能なかぎり記入すること

20 エピクリーゼ(epicrisis症例分析的批判的総括) 死因に追加する事項(用紙I 項目14必要であれば
(例、災害中毒暴力自殺ならびに医学処置合併症:_________
傷害の外的原因経過について述べる):___________________
中毒の場合は方法についても付け加える __________________

21 災害のカテゴリー(下記をチェックして下さい)

  □学校災害(登校時災害は除く)  □スポーツまたは遊戯災害家庭や学校以外)□通勤時の災害  □労働または執務中の災害(通勤時災害は除く)  

家庭における災害  □その他の災害  □交通災害  □不明

妊娠が可能な年齢に達した女性の場合

22 妊娠しているか?  □No  □Yes   月数__  □不明

23 最近12ヶ月間に妊娠した徴候があるか?  □No  □Yes

―――――――――――――――――――――――――――――

24 診断解剖によって確認されたか  □No  □Yes

25 剖検所見があるか?  □No  □Yes

―――――――――――――――――――――――――――――

26 死体身元が不明の場合: 

自然または死因不明の場合:

警察に通知したか?  □Yes  □No

1年以下の小児および死産の場合

27 小児はどこで生まれたか?  □病院  □家庭  □その他の場所

28 多胎  □No  □Yes   出生身長___cm  出生体重___g

29 24時間以内に死亡した新生の場合  □妊娠週数__の早産 

生存期間: ___時間   □不明

      用紙2から5の複写式の部分は終り       

30 18(用紙1)と同じ

2004年に下記の項目が追加された】  

私は検査背部頭部皮膚及び全身開口を含めています

No  □Yes     

 

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死亡診断記入要領

(ノルトライン−ヴェストファーレン州)

読みやすくするために文字に下線と網かけがしてあります

 

記入手順(赤い文字部分の訳文訂正2007.1.28

1.          1から10までの項目(個人関連死亡日時/発見日時)を記入。(複写できるので強く書き込んで下さい。)

2.          これ以下の記述では、秘密扱いでない部分秘密扱いの部分(後者は強く書き込む)を別々に記入する。

3.          秘密扱いでない用紙の項目18と秘密扱いの用紙の項目30は総て署名しスタンプを押す(署名またはスタンプが複写で判読できないとき)−ここでの複写方式は総ての用紙に対して可能である−。

4.          用紙1(秘密扱いでない部分を切り離す。これは遅滞なく薄緑の封筒に入れ、死体検査届出た者【家族など】に渡し、戸籍役場に提出させる。

5.          役所での後の作業容易にするためと情報保護保証するために、用紙2から4まで(秘密扱いの部分注意深く封筒に入れ用紙右上の記入欄の役場戸籍係が(下級衛生局・・・と書いてある)封筒の窓のところにくるようにする。これらの記録箇所封筒の窓を通して見えなければならない。

用紙2から4は糊付けされた赤色封筒に入れて、通常同様遅滞なく死体検査届出た者に転送のために渡す。(戸籍役場に出す死亡診断秘密扱いの部分下級衛生
従来Gesundheitsamt)に転送される)

秘密扱いの部分記入が遅れる場合
例えば剖検所見を待つ場合)には、戸籍役場での転送のために死体検査届出た者用紙だけを遅滞なく渡す。秘密扱いの部分No.8個別説明参照)の記入終了したときは、作成者である医師秘密扱いの部分を入れた糊付けされた封筒遅滞なく下級衛生局に送る。

用紙はノルトラインーヴェストファーレンの居住のガン登録または下級衛生局が必要とする。
用紙役所死因統計使用される。このために管轄官庁はその職務としての必要データを集める。

6.          用紙5医師保存する。これは発行後最低120ヶ月保管しなければならない。その後は、この書類を調査することがないと医師立場から考えられるときは破棄できる。

 

医師に対する項目の説明

1.          どの医師死体検査を行い、死亡診断発行する義務がある。死亡通知を受けたならば医師死体検査遅滞なく(責任をもって躊躇しないで)実施し、死亡診断死体検査届出た者直接渡さなければならない。死亡診断発行は単なる形式手続ではない;医師死体検査のときは注意義務から免除されない。行政上の死亡診断秘密扱いでない部(用紙1)の項目18ならびに秘密扱いの部(用紙以下項目30))は、死の確徴存在し、衣服をまとっていない死体注意深く死体検査実施されたときにのみ交付することができる;死体部分検査では十分である。

2.          死亡または死体発見の場所に対して、通り/家屋番号(秘密扱いでない部分1112)が特定できない場合、たとえば通りではない場所のときは、その場所を適当な方法で標示する(例えば「Düsseldorf, Hofgarten, Napolensberg」(日本式に表現すると千代田区、日比谷公園、野外音楽堂))。

3.          死亡診断500g以上の体重死産または分娩中に死亡した胎児に対しても記入しなければならない。この場合は秘密扱いでない部分(用紙1)の13項も書き加える。

4.          死体所見から、また発見と死亡状況から自然に対する手がかり(秘密扱いでない部分14項目)−災害の場合も自然であるー、が判明したら、医師はそのことについて用紙1に書き止めた指摘を秘密扱いの部分である用紙2以下(項目20)により詳しい記述で記録しなければならない。医師には犯罪あるいは法律的な立証を求めない;記述は、自然に関して捜査をさらに行うかの決定に当たっての助言を求めるだけのものである。

5.          脳死(秘密扱いの部分、用紙2以下の項目11)は連邦医師基準によって決定されなければならない。

6.          死因」(秘密扱いの部分、用紙2以下、項目1519)は、WHO規定に基づき因果関係について、死体検査医師立場病気経過記載されなければならない。その場合


I a) 直接死をもたらした疾病

I b) 及び Ic) 先行する原因 −Ia)に示した死因を直接にもたらした疾病を(できれば、因果関係をより詳しくIb) と Ic)に)、元になった原因疾患)を最終行に−、

II 他の基本的疾患 −死因またはその元になった疾患とは直接関係ないが死に関与した疾患

記載する。

1.          災害中毒暴力作用または自殺の場合は、傷害の外的原因秘密扱いの部分(用紙2以下)項目20)に記載する(たとえば、「梯子からの転落」、「首吊りによる自殺」)。災害のときは災害のカテゴリーにも印をつける(秘密扱いの部分、用紙2以下、項目21)。

2.          死体検査した医師解剖指示し、その結果死亡診断に採用したときは、項目24に「Yes」を、項目25に「No」をチェックする。これとは別に死体検査した医師は、解剖医が記入し署名した解剖医の所見を、「NRW死亡診断」(用紙2以下)に付属書類として添付することができる;この場合秘密扱い部分の項目2425は「Yes」にチェックする。

3.          早産(秘密扱いの部分、用紙2以下の項目29)で妊娠週数が確認できないときは、妊娠週数の項目に疑問符を記入すれば十分である。週数が推定できるときは、「ca.」を数字につければよい。

4.          意図的に不正な記載を行うことが犯罪行為であることは明示されている。

5.          死亡種類が不明、あるいは不自然であるときは、医師は −刑を無効にする行為という非難を受けないために− 死亡確認したあと直ちにそれ以降の死体検査を中断し、遅滞なく警察に通知し、警察の到着まで死体や発見現場に変化が加えられる可能性を防止する。死体個人識別が明らかでないときは、医師は警察に通知しなければならない。

 

内容
下記の役所:とくに役所名が規定されていなければ、死亡場所の役所(死亡場所が不明のときは発見場所)である。

 

秘密扱いでない部分

用紙1 は下級保健衛生局へ   −明るい緑色−

戸籍役場を通して

 

秘密扱いの部分

用紙2 下級保健衛生局へ   −淡い赤−

保存のため

 

用紙3 下級保健衛生局へ

ガン登録での調査承認居住地区自治体への転送   −明るい青−

 

用紙4 下級保健衛生局へ

記録統計局へ転送のため   −黄色

 

用紙5 発行した医師

保存のため   −色なし−


2通の封筒

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