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T602

イタリア政府はドイツの保健医療制度を見本に

 

数日前に、この短報の第1号(T601)として、英国から見たドイツの医療制度を報告しましたが、その直後、同じくドイツ医師会雑誌の2002918日のニュースとして、以下のような主旨の記事が目に入りました。

 

イタリアは保健医療政策の熱い秋を迎えようとしている。イタリア議会の左翼政党は新しい国家的保健医療制度を定着させるために、あらゆる手段を用いると通告していて、政府とのコンフリクトが計画されている。

イタリア政府は左翼政党とは考えを異にして、ドイツを手本とした保健医療制度を求めようとしている。政府のスポークスマンによると、この制度では主として患者の疾病金庫の保険料から支払われることになる。詳細はこれまでのところ不明である。

これに対して左翼政党は、「これは不公平であり、社会的に弱い患者が医師の診療を長期的に受けられなくなったり、専門医の治療が受けられなくなる可能性は不可避である」と声を荒立てている。

イタリアのメディアは数週間前から、イタリアの保健医療政策においてますます深刻化する危機について報じている。病院では、お金の不足のために、身の毛もよだつような状態が一部に蔓延している。イタリアの元保健大臣であったRosy Bindiは、患者の80%以上は経済的により悪くなるであろう、政府はドイツを手本とした保健医療制度を導入すべきである、とジャーナリストの前で呼びかけた。

イタリアの医療の財源は税金でなく保険だと聞いています。この短い記事をみると、イタリアでも医療の危機が叫ばれていて、その打開策として、政府はドイツの医療保険制度を手本にしようとする考えを持っているようです。どの国も医療問題に悩みを抱えていると思いますが、それでもここに述べたイタリアやイギリスにとっては、一部の人かもしれませんが、ドイツの医療保険制度が魅力ある制度に見えているようです。

岡嶋道夫