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イギリスにおける

法医学専門医の資格認定について

ここに掲載する資料は特殊な専門領域のものであるので、一般の方にはあまり参考

にならないと思うが、外国における比較的目立たない領域においてもこのような

専門医の資格認定試験が実施されているという状況を垣間見ることが

できるという意味で興味を感じていただけるかもしれない

 

序言

 Prof. Knight が1994年に、イギリスにおける法医学に関連する卒後研修と専門医の資格に関する資料を送って下さったので、日本法医学会ニュースレターNo.2、6頁にそのことを報告した。

 イギリスの法医学関連の専門医資格は複雑であり、それを解説する上記資料は分散した形で書かれているため大変に読みづらい。おそらくそのような理由もあって、今まであまり読まれていないように思われるが、今回その翻訳を希望される方があったので、以下のように翻訳を試みることにした。

   1998年5月10日

訳者 岡嶋道夫

東京医科歯科大学 名誉教授

okajimamic@hi-ho.ne.jp

 

訳者解説

 翻訳を提示する前に、Prof. Knight の手紙と重複する内容になるが、イギリスにおける法医学の専門医の種類を簡略に説明すると、以下の3種類に分けられると思う。

1.     Forensic Pathology の Diploma:大学の法医学教室に席を置く研修医が The Royal College of Pathologists のメンバーとなり、その組織が定めた卒後研修を行い、その試験に合格して資格を得る。

2.     Medical Jurisprudence の Diploma:これは The Society of Apothecaries of London が試験を行って Diploma を授与するもので、次の2種類がある。

·           DMJ(Clinical):開業医が取得し、検査の対象は主として生きている人。Police surgeons が該当する。

·           DMJ(Pathology):地域の病院に勤務し、解剖を行う。

 

翻訳した資料は以下の通り3種類である

A. Prof. Knight からの手紙:

これにはイギリスの法医学の卒前、卒後の教育の概要、とくに上記のような専門医の種類が解説されている。

B.The Royal College of Pathologists の規約:

Forensic Pathologist の資格を得るための卒後研修と試験の規則。大学法医学教室で研修して取得するアカデミックな専門医資格で、前半3年は Histopathology と表現されている病理学を学び、後半の2年において Forensic Pathology を修得する。なお、2種類(印刷物とタイプ印書)の資料から翻訳したため、試験規則などは一部重複している。

C.Medical Jurisprudence(The Society of Apothecaries of London)の試験規則:

DMJ(Clincal) は開業しながら勉強して受験する制度らしく、研修年限といったものの規定は見当らない(訳者はこの資料を見ただけなので、理解不十分である。誤認や説明不足があったら御教示下さい)。

     D.上記資料についてメールを頂きましたので紹介します。

 

なお、これらの資料の原文が御入用の場合は御請求下さい。

また、アメリカ、ドイツ、スイス、EUにおける法医学の卒後研修規則の翻訳は岡嶋道夫が個人的に作成し、各法医学教室に寄贈させていただいた「法医学の教育と実務に関する外国の資料」(1993年7月)に掲載されている。